興味ある事に対し、猛烈に知識と情報を必要として勉強熱心になる、菅野。

「インプットするだけじゃダメなんです。アウトプットしないと」
菅野はニコニコしながら杉浦に言った。

杉浦は、隣で寝そべる菅野が眺めている物を見ないようにしている。

ゲイ雑誌。

「アウトプットって…」
「杉浦さんは興味なさそうだから、僕が勉強して、教えてあげます」

いらないよー…。
思うだけ。声にはしない。


情事の後。
杉浦は裸のまま。
菅野は白いローブを羽織って。

「白い下着と黒のレザーパンツなら、どっちですか」
菅野が質問してくる。
困る。
「興味ないよ下着とかって…。僕、そういうフェチズムはゼロみたいなんだけど」
「ちゃんと想像してください杉浦さん。僕が履いてて杉浦さんがぐっと来るのはどっちですか」
「急に言われてもなー」
「もしかして、女性用下着?」
「いや、それは無い。かんちゃんが履くんでしょ。やだ。そういうのはやだ」

菅野なら、女性用の下着でも平気で購入出来るだろう。
ネットや通信販売で購入ではない。
菅野ならば店頭での購入も厭わないだろう。

「やらしい雰囲気とか、楽しみたくはないんですか?」
俯せの体勢から杉浦を覗き込むようにして。
大きな目。
動物を思い出す。
例えば鹿。
菅野はバンビに似ている。

「やらしいって言うか、僕が好きなかんちゃんはスーツのかんちゃんだよ。細身のスラックス」
正直に答えた。
菅野が一度、驚いた様な表情になる。
「なんでビックリしてんの」
「って事は杉浦さんは、いつも僕に欲情してるって事ですか」
「そういう意味じゃ」

いや、そういう意味か。
わからなくなる。
菅野がニヤニヤと笑う。

「嬉しいなぁ。なんか嬉しいなぁそういうの。じゃあ今度、僕スーツ着たままで悪戯しますよ」
「されてるよ。してるじゃないか」
業務中に菅野に襲われるのはもう日常茶飯事。
「着たままでセックスした事は無いですよ」
「シワになるよ」
「クリーニングに出せばいいです」
ニヤニヤ。

バンビに襲われる自分。
情けない気分なのに、心地好い。
菅野よりも自分はもっと変態なのだな、とこういう時に感じる。


20090605完



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