「帰るよかんちゃん。森ちゃんと横ちゃん待ってるから。着替えて」
促しても菅野は枕に顔を突っ伏したまま、起き上がろうともしない。

杉浦は菅野を振り返りもせずに自分の着替えを淡々と進める。

菅野が呻く。

「……もう一回……」

杉浦は小さくため息を吐いて見せた。
一応返答する。

「かんちゃん。僕って幾つになったんだっけ」
「……43」
「そう。僕ねぇもうねぇ本当に体力無くてねぇ。二回戦とかって無理だよ難しい」
「……『出来る出来ないじゃねえ、やるんだよ!』」
「やめてよそれ。懐かしいな。平塚さんお元気かな。かんちゃん連絡取ってる?」
「……取ってません……」
「あ、そう。安東さんはお元気かなあ」
「……知りません」
「ああそう。仲良かったのにね」
「……僕と仲良くしてくれるのなんか杉浦さんだけです。だからもう一回!」

杉浦はそれを無視した。
テーブルの上に置いた車のキーを手に取る。

「じゃあ僕先に行くね。かんちゃん後からタクシーでおいでよ」
「ちょ、杉浦さん!杉浦さんて!やだ!もう一回!!」
「君のもう一回って一回じゃないからやだ。んじゃね。ポルタの後はリューちゃんと合流してハイジマにも顔出すつもりだけど、かんちゃんは来ないんだね?そう伝えておくね」
「杉浦さんてば!!」

菅野がようやく枕から顔を上げた。


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