![](//static.nanos.jp/upload/m/mujiknh/mtr/0/0/20121114114822.jpg)
甘い香りが近づいて来た。
隣に菅野が立ち、そっと杉浦の肩に手を添える。
「んー」
「なんだい菅野くん。ちょっと待ってて、これ送信するから」
「んーっ、んっ、んー」
「どうしたんだよ」
「んー」
「はい送信。なあに。ん」
菅野を見ると、チョコレートスナックを口に咥えてニコニコしている。
「なんだい、今日は合コンごっこかい」
「んー!」
無言でうんうん唸りながら、菅野は胸元からバタフライを取り出してカレンダーを杉浦に見せつける。
日付けは11月11日。
杉浦はようやく気がついた。
「ああ、今年ももうそんな時期なんだ」
答えて、菅野の咥えるチョコレート菓子の端を杉浦も咥えた。
ゆっくりと齧って行く。
菅野も向こう側から齧って来ていた。
長閑な平日の昼下がり。
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