スペアが取れんなー英二。
スペアが取れたらかっこええのになぁ。
ストライクより、スペアの方がええな。
取れたら、の話やけど。
あ。
「英二。ぇいじー、ちょお」
「うるだいだまっとれ、集中しとんねん」
英二がゴーンてボールをレーンに落とした。
なんでそな穴空きそうな感じで放るん。
床痛いやん。
カコーン。
3本残った。
「英二」
「なんやねん。スペア取らな。真ん中三本や。取れる」
「ストライク出すんと、スペアで取るんやったらどっちが点数高いん?」
「知らん!だーっといてくれ!」
なんやねん玉ころがしに真剣なってー。
アホ。
英二のボールが戻ってきた。
「絶対取る。絶対取る。絶対取る」
そなガチガチなっとたらあかんわ。
取れへんわ。
ゴン。
ゴロゴロゴロ…ドスン。
ガーター。
英二が頭抱えとる。
「あかん。ガチガチなってもうた」
それゆうた。
俺。
心の中で。
俺の番。
ボール。うーん。ボール。
「英二」
「なんやねんお前は。なんで集中できへんねん」
「あんな、ボールな。穴。穴。穴。これ」
「なんやねん」
「指入れて、やらしいな。さんぼんも」
「下ネタゆうとる場合か!早よ放れや」
「なー、英二」
「なんやねん早よせぇって」
「何ゲームやんの」
「俺が勝つまで!」
そんなん、俺も絶対負ける気せぇへんけどなぁ。
「早よ帰ってえっちしたい…」
「なんやて?なんも聞こえへん。早よ放れ」
ゴーン。
ゴロゴロゴロ。カコーン。
ストライク。
英二を見る。
悔しそうな顔しとる。
「なんでお前みた曲がっとる奴のボールが曲がらんねん」
「曲がっとるよ。回転かけとるもん」
「うっさい!あーっ腹立つっ」
イライラせんとー。もぉ。
隣、モーテルやんなー。
家まで我慢できへん。
寄って帰ろ。
「なー」
「うっさい!」
ゴン!ゴロゴロゴロ。カコーン。
両端に二本残った。
20100217加筆修正、完