「29日に海開きなんだってよ。そら行くしかないっしょー。水着のお姉ちゃんがいっぱいいっぱい」
「二ケツで?」

当然だと言う様に大森は頷いた。
伊藤は少し不安だ。

「簡単に言うけどさ、熱海って結構普通に遠いぜ?」
「いいじゃん。大丈夫だって。安全運転するから」
「お前調子に乗りやすいからなぁ…マジで法定速度守ってくれんの」

勿論、とまた大森は頷く。
こうなったら大森は止まらない。
伊藤は尋ねる。

「なんで熱海?」
「温泉しょ」
「温泉行きたいのかよ」
「うん、熱海七湯巡り。スタンプラリーもあんだぜ」
「おもしれぇかソレ」
「楽しいぜぇ〜。温泉ゼッタイいいって。お前の髪もサラサラストレートに大変身」
「イヤだよ」

伊藤は頭を両手で抱えた。
それは年齢や年代に見合わないパンチパーマ。
大森が言う。

「熱海まで単車で何時間だと思う?」
「…厚木インターから車で2時間くらい」
「なんだよ知ってんじゃん。つまんねーの」

大森が口を尖らす。
こういうところが子供っぽいと伊藤は思う。
頭の中はガキそのものだ。
高校の時からまったく変わっていない。

「でもさ、6月にそんなに水着ギャルいるかな」

伊藤がそう言うと、大森は自信満々に答えた。

「明日の静岡県伊豆地方は晴天であります!降水確率午前中10%、午後は0%、最低気温23度、最高気温29度です!」
「そこまで調べてんのかよ」
「水着のお姉ちゃん鑑賞して温泉巡り。男子冥利につきますね」
「男子とかそういう話じゃねぇだろ」
「モテたいんだもん!今年の夏は違う夏にしたい!」

ハイハイ、と伊藤は手を振った。
大森はにっこりと笑った。

「んじゃ明日6時に出るぞ」
「早!向こうに8時に着いてどうすんだよ」
「何でも早い方がいいしょ」

にこにこにこ。
伊藤は呆れる。 
今日は早く寝ないと駄目だな。
明日は一日子守かよ。

伊藤は睡眠時間を逆算した。


20100217加筆修正、完

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