劇団員の二人。
ダイトとマナブは仲良し。
二人で同居の小さなアパートの中でお稽古中。
でもでも。
「わしはあ嫌じゃ。飽きたんじゃ、稽古しとうねー。はあ止めて遊びに行こー」
と、ダイト。
「ええよ。俺もそう思っとったから」
答えるのはマナブ。
「どこでもえーよ。腹一杯食べたい。飲みたい」
「ここ以外のどこでもええな」
「ここ以外のどこでもええ。どこ行く」
「とりあえず外に出ますか」
マナブがノブを回した。
ダイト笑う。
二人で部屋を出る。
街に出る。
冬の夜の空気。
何も言わなかったが、二人は当然のように一番近くのコンビニに足を向けていた。
「わし稽古なんかどうでも良ぉなってきた」
ダイトの台詞にマナブ苦笑。
「そんなん言うなや」
「だって、はあ、稽古しとうねー」
更にマナブ苦笑。
こんな事言うとは。
ダイトお疲れ気味。
コンビニに入って、オニギリ。
缶ビール。
アツアツの唐揚、おでん。
コンビニを出て、今度はフラフラと公園に向かう。
寒い。
息が白い。
「名古屋で雪降っとるらしで」
「ここは晴天じゃ」
ベンチに座る。
冷える。
が、これからおでん大会。
冷めない内にどうぞ召し上がれ。
「なんで居酒屋行かなかったんじゃ、わしら。こねーな冷えたとこ来て」
「まぁええやん」
「ええよ」
もぐもぐオニギリ。
プシュっと缶ビール。
ほくほく唐揚。
温くなったおでん。
「おでん冷えとる」
「時間経ったけんな。この外気温じゃ。冷めるのもはえーよ」
もぐもぐ。
2本目の缶ビール、プシュー。
「外冷えとるから飲んでも頭冴えるなぁ」
「このままどっか行かん?」
「どこて。どこよ」
「遠くにいくんじゃわし。あったかいところに行きたいんじゃー!」
「ホテル」
「ホテル?バカかお前。何期待しとるん」
「なんにも期待しとらんよ。この時間開いてる居酒屋。たこしげ?行く?」
「今日はそんな気分にならんわ」
「牛丼屋」
「……屋台とか無い?」
「色気無い」
「色気なんかいらん」
「ほなどこ行く」
「部屋に戻ろかー。おもろない」
「ほなもっかいコンビニ寄って」
「酒買うて」
「酒盛りや!」
「酒盛りじゃー!」
そこで警官登場。
当然職質。
それでも二人はニコニニコ。
頭の中は酒盛りで一杯。
20100204加筆修正、完