部屋に戻るとテーブルの上にメモがあった。
 
「ぬくいかっこして外に出ろ」

今帰って来たトコやのに。
めんどいなぁ。
そう思いながらも村田は帰宅時のままの姿で玄関へ戻った。
玄関のドアの内側にもメモ。
帰って来たときには気付かなかった。

「一番近いコンビニ行け」
 
なんで命令口調やねん。
それはいつもやな。
まぁええわ。
村田は靴を履いた。
出る。
寒い夜の街。
空気。
ビル。
マンション。
店。
シャッター。
タクシー。
一番近いコンビニに向かう。

途中の電信柱に、メモ。
メモではないA4サイズの紙に、見慣れた文字。
 
「コンビニ入ったら好きな漫画読め」

バリバリと引き剥がしグシャグシャに丸めて、ジャケットのポケットに仕舞う。
10m先にコンビニ。
入る。
雑誌コーナーへ。
隣の漫画コーナーへ。
さて何読もか。
あ、JOJOあるやん。
何部のやろ。
3部やん。ええなぁ。
一冊抜き取る。
読もうとして、厚みに不自然さを感じた。
ペラペラとめくると、しおりのようにメモが一枚。
 
「顔上げて、外見ろ」

その通りにした。
島岡がコンビニのガラス越しに村田を見てニコニコしている。
村田も思わず、笑ってしまった。
島岡が向こう側で、またしてもA4サイズの紙を広げる。
カンペか。
 
「コーヒー2本買うて」

言われるままに清算して、外に出る。
島岡はニコニコしている。
村田は言った。

「なにしてくれてん」
「遊んでみた」
「もぉ寝よ思ててんけど」
「遊ぼうぜ」
「何して」
「キスしてくれ」
「はぁ?」
「今すぐここで、キスせぇや」
「なんななんあなんあなんでやねん」
「俺の事好きやろ。してみ」

出来るか!
村田は島岡の腕を引っ張り、引っ張り、引っ張り…歩いて、ビルとビルの隙間に入った。

「こなとこですんのか」
「コンビニの前でどやってすんねん」
「まぁええやろ」

島岡は村田の首に腕を回して、自分からキスをした。
長めの、少し激しいキス。
唇を離して、村田を見る島岡。
村田はうろたえてしまう。
自分の恋人はいつもこうなので。
手に持ったビニール袋から缶コーヒーを1本渡した。
ニコニコして島岡が受け取る。
俺の恋人、美人でH。最高ですよ。
村田もプルトップを開けた。


20100217加筆修正、完
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -