「歌わないの?ヒナちゃん用意してんじゃ?」

赤倉は日鳴方の隣に座った。

「おん。アニソンしか知らんけどなー」
「ヒナ、あれやってよアクエリオン」
「あれもう飽きたわ。レッドなんか入れたん?」
「俺まだー。しょこたんのコレ聞いたら頭ちがくなっちゃったのよ。何やろっかなー。あ、難波くんはー?」

赤倉はヘラヘラと笑っている。
「俺はいい。連れて来られただけだからな」

やんわりと断ったつもりだった。

赤倉はニコニコと相変わらず笑顔で、

「難波くん歌上手いじゃん!」

と言った。

俺は歌など歌った事はない。
日鳴方も不思議そうに赤倉を見た。

見られた赤倉は俺と日鳴方を見比べながら言った。

「だって!難波くんて校歌めちゃめちゃ上手いよ!」
「あー、ホンマやなあ。一年の中で難波くんだけやんな、校歌パーフェクトに歌えんの。確かにええ声しとるからよぅ聞こえとる」

「ね!ね?でしょ?」

入学して一ヶ月近く経つのにまだ覚えられない貴様らの脳はどうなんだ。

呆れて物も言えん。

前園が歌い終えた。
兎澤らが拍手を送っている。

何故俺は今ここにいるのだ。

何をしているんだ。

歌?

歌いに来たのか?

ふと隣の日鳴方を見てしまった。

「リアルハルヒ」

日鳴方が俺を見てそう言った。
続けてこうも言った。

「ツンデレ最高。更にメガネ着用で高得点。たまらんなー」



日本語か?
関西地方で使われる言葉なのか?

赤倉は理解したのか、日鳴方に

「ヒナちゃんクーデレが好きって言ってなかった?長門でしょ?」
「好き順ゆーたらオドクーツンヤン辺りやなー」
「ヤンは知らない〜ナニソレ〜!」
「しょこたんみたいなん」


理解不能の言語だ。
全くわからない。

だがわかりたくもない。
どうせつまらん内容なのだろう。
「え〜でもぉ、難波くんはクーじゃないのぉ?」
「ちゃうなあ。ツンやで、長門ちゃうで涼宮やで」
「そーお?」

意味不明の単語の羅列にウンザリだ。
どうやら俺をカテゴライズしようとしているらしい事までは雰囲気でわかったが。


だが俺は俺だ。
俺は一人しかいない。

誰かと同じではない。

くだらん。
不愉快極まりない。

日鳴方が俺の顔を覗き込むように見た。

「難波くん?」


20100130続きます。

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