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圭ははらりと涙を流した。
痛い。
目の奥が酷く痛い。
近の為に流す涙。


「うわぁああああああ!」

圭は近の頭を狙った。
一発では当らない。
二発、三発、四発。
五発目でやっと近の頭蓋がぐちゃぐちゃに破壊された。

圭は肩で息をした。
苦しい。
こんなにも苦しい。
人が死ぬのは苦しい事なのだと思う。
自分が死んだら、誰かが苦しくなってくれるのか?

圭は裸の少女を見た。
虚ろな目をしている。
Kがその頬をひっぱたいた。

「起きろ、エス!」

エスの目の焦点が合ってきた。

「K」
「エス、最後だ」

外で大きな爆発音が2発続いた。
最後の時が近づいてきている。
Kがエスの肩を抱いて言う。

「エス、俺のカードを抜いて、圭のカードを俺に。君の最後の時だけは来ないように」

エスは頷いた。

圭を見る。

圭は涙を流しながらエスに近づいた。
左耳を差し出す。

「抜いてくれ。世界を救いに行く」
「俺もついてくわ」

三人が頷きあった。

「さよなら、エス」

Kはエスの両方の頬を抱え、唇に口付けた。
エスが微笑む。
そしてエスが圭の左耳に触れた。
圭の気が遠くなる。
世界が一瞬暗くなる。

 1

 2

 3秒。
 
何の意識も無く、ただ、唇が動いた。
 
「この世の果てまで」
 
シュウウウン、とエスの体から音がした。

外では爆発音が響く。

世界の終わり。
この世の果てまで。



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