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「コイツは危ない。俺のメモカをもっかい少女体に入れたらエラい事になる。ここで破壊するしかないな」

そう言うと躊躇することなく依栖はエスの体に銃口を向けた。
三発発射。頭蓋が破壊された。
血飛沫。
顔がわからなくなるまで。
圭は目を背けたが、Kはただじっとその様子を見ていた。

だが圭は気が付いた。

「そのエスだけ壊してもしゃあないんちゃう…?」

それを言うと八代がケタケタと笑い出した。

「そうだよ!その少女体は普及している!危険性は回避できてないんだよ!」
「その通り」

近の声。
その場に居た4人は床に倒れた近を見た。
違う。
近はもう動かない。
もう一度、別の方向から近の声が聞こえた。
銃声と共に。

「八代くんと林田くんの仕事ももう終いや。お疲れさん」
「うわぁ!」

八代と林田が後方から撃たれた。
一発で心臓を打ち抜かれている。
この手腕、確かに近が近くにいる。
ビルの階段奥から草履の足音が聞こえてきた。
近だった。
近の隣に、小さなスーツケース。

「オノレらホンマにポンコツやなぁ。俺も本体があると思わんかったんかい」
「チカ兄…!」
「圭、お前はまだ記憶がごっちゃなってんねんな。上から見とって恥ずかしくなってきましたよ。俺のパーツを作っとったんも俺が作ったった記憶やんか」

圭は悔しそうな表情をする。
近の本体。
あれは人間。
その脇にあるあのスーツケースの中には。

「少女体エスはなんぼでもあんねんで?」

近はアサルトライフルを構え、即座に依栖を撃った。
確実な音。
依栖が倒れた。

「依栖!」

二人のケイが同時に叫ぶ。

「動くな!動くなよ。俺の仕事はエスの破壊や。今日ここで始末つける。爆破する。ついでにお前らもや」


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