オカマの竹中はタチだ。
ネコと勘違いされているが、タチなのだ。

上司の杉浦を可愛いなぁと思い、観察している。

カンカンの事大好きなのねぇ。
走り回ってるカンカンの邪魔してるだけじゃない。

競合店が新装開店した事による、マエデン原田店の対抗イベント。
杉浦と菅野が応援に来た。

原田店は元々、菅野が担当していた。
竹中は菅野の面接を受けた。

あらやだ男前。
好みじゃないケド、可愛い顔してるわ。

そう思ったら、菅野の先輩に当たる杉浦はとんでもなく好みのネコだった。

ネコだと思ったのは自分勝手な思い込み。

身長187cmの長身の杉浦が余りにも可愛らしく見えるのは、傍にいる菅野のせいだと判ったのは、ついこの前の、忘年会の時。

久保課長の企画した王様ゲームで、杉浦と菅野はキスをした。

場は盛り上がったが、竹中は面白くなかった。

カンカンたらスギサマの事大好きなんじゃないの。
ノンケのふりしてあの二人ったら。
スギサマなんか完璧にカンカン意識しちゃって。

そして今日も。
忘年会から二ヶ月が過ぎた。

二人の間に身体的な進展は無い事を竹中は感じ取っている。
だが精神的には?

「かんちゃん、在庫今日届くの?何時?」
「13時に!ハイハイ奥さん、本日月々たったの8円で使える携帯電話ご用意してます!あー!学生さんなら無料通話がもっとお安くなるんですよー学割ありますからねぇ!」
「かんちゃん、菅野くん、LSH20-9は?!」
「宮川くんが持ってます、色は二色、白黒、おー、お目が高いですね!こちらは通常7万円台の商品なんですけどもね」
「かんちゃん、宮川くんいないよ!」

何をしてんのスギサマったら。
すっかりカンカンに服従しちゃって。
カンカンいないと仕事なんにも出来ないじゃないのぉ。
でもまぁ、可愛いけど。
しっかしカンカンは冷静だわぁ。
タケナカがネコだったら抱かれたいかも。
でも見た感じ判るわー。
スギサマって奴隷体質のタチなんだわ。
カンカンはそれを思いっきり振り回すネコなのね。

あたしは奴隷ちゃんを奪いたいタチのオカマね。
いいわ、いい!
そういう三角関係ってタケナカ、奮い立つわ!

「タケちゃんページングして!思いっきり売れる奴!」
杉浦から館内放送の指示が出される。
「はぁーい」
ハートを語尾に残したつもりが、杉浦には届かなかったようだ。
竹中を振り返りもせず、また売り場中央の菅野の傍へ走っていく。
まぁいい。
今は業務中。
杉浦と菅野の関係は進行してないのなら。
まだ安心してもいいわよね?

竹中は内線の受話器を取り、放送を始めた。
「いらっしゃいませいらっしゃいませいらっしゃいませ!」

店内が騒々しく動き出す。


20090526完



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