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パン!銃声がした。
圭は林田を見た。
ゆっくりと倒れていく。
林田の掛けた眼鏡が外れる。
エスは立ちすくんだままだ。
倒れた林田の後に、近がよろめきながらなんとか立っていた。

「全員動くなや」

近の静止に、全員が止まった。
近はエスに近寄った。

「エス、元に戻したるわ」

エスの左の耳のスロットに触れる。
メモリーカードを抜き出す。瞬間エスが膝から床に倒れ込む。
近の左手に、メモリーカード。

「チカ兄!そのメモカ…!」

 圭が叫ぶと近は微笑んだ。

「判っとるわ」

「待てっ…!」
八代の一瞬の隙を突いて、近は依栖の手を捕らえて引っ張り引き寄せた。
空いている右手で、依栖の左耳に触れる。擬似プログラムのメモリーカードを抜き出す。
それを床に放り投げる。
そして近はその代わりに先ほどまでエスの耳に入っていたメモリーカードを差し込んだ。

 1

 2

 3秒。

依栖が覚醒した。



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