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「近さんはそれが出来なかった。所詮は圭さんにプログラミングされた人造だからね」
「お前ら…一体…」
「『はじまり』から『終わり』に送り込まれた人間のスパイてなもんですよ。圭さんは覚えてないかもしれないけど、D区の集会でエスさんが連れてきた5人の同志達の中に、確かに俺たちはいた。いたけど、それは役者としてですよ。Kさんは気付いてたみたいだったけどね」

Kを見る。苦々しそうな顔。

「人間の中にも、圭のような奴らがまだいると思ってたんだ…人造に権利を求める同志が…」 
「お前までだまされとったんかい。しっかりしいや俺」

圭はにやりと笑って八代と林田を見る。

「ほんで?お前らどないしたいんこの状況」

八代が答える。

「圭さんとK、エスと依栖合計四体の回収ですよ。そして『終わり』で危険物を制御する。危ないですからね、爆発物。大切にしなけりゃ」

そういうと八代は足元に転がる近を軽く蹴った。それを見て林田が笑う。

「こういう自覚の無い人造は駄目だな。使い辛い」
「チカ兄をそんな風にすんなボケが」

圭は憎々しげに林田に銃口を向ける。

八代が依栖を、林田がエスを捕らえた。
二人のエスは脱力している。
エスはメモリー半壊、依栖は擬似プログラムのみで動いている。
力はほぼ出ない。
「さて、来てもらいましょうかね」
八代が眉の無い顔でこちらを見て言う。林田がじりじりと二人のケイに向かってくる。

「それ以上近寄んなよ。ホンマに撃つで」
「撃っても下手ですよね、圭さんは」

ピン、と張詰めた緊張感。どの瞬間、動ける?圭は考える。一瞬の隙があれば。




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