「男」
「シゲくん男の子でリスカーなんだ、珍しいね」
「珍しいか?」
「多分珍しいんじゃね?まぁ俺もそうだし。全然いないわけじゃないけど、男の子より女の子の方がリスカーは多いから」
「湊さんはもう『男の子』って歳じゃないでしょ」
「失礼だな!折角手伝ってあげてるのに」
「手伝ってって言ってねーもん」
「そうだね、勝手に俺がやってるだけだもんね」
「シゲはね、強い子なの。将来俺をお嫁さんにしてくれるって約束してくれたの」 
「へえ。恋人って訳だ」

拓也ちゃんもゲイなんだろうか。
割合と言うか比率が多すぎる病院だ。

「そうだね」
「じゃあ勇志さんは?」
「勇志さん?あの人は俺の事を勝手に好きになってんの。いい迷惑だっての」
 
俺はちょっと驚いた。
拓也ちゃんの目で見ると、勇志さんは「邪魔者」なのかしら。
好きなんだと思ってたのに。

「勇志さんは最初俺に親切にしてくれたのよ。鬱の時だったけどちゃんと覚えてる。拓也ちゃん拓也ちゃんって可愛がってくれた。それは最初の入院の時だよ。二回目の入院の時は躁だったんだけど、この時に俺が今みたいに唄っていたら、注意するの。まるで保護者みたいに。アンタ何者なの、って感じだよ。俺に勝手に構ってきて、俺が躁になったら嫌いになったの。嫌な男!大嫌い」
「そ、そういうのじゃないんじゃないの?もっと他に理由はありそうだけど」 

素直に
「拓也ちゃんの性格に難があるんじゃないのか」
とは言えなかった。




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