後で徹に
「なんで断わったんだよ、かわいそうじゃないか」
と言われたけど、徹にゴマ擂っても仕方ないから無視してやった。

それに、俺の方から声をかけると決めていたのだ。
拓也ちゃんの機嫌の良さそうな時に、二人でお話をして、共感しあえる何かを持って、いいお友達になろうと思ったのだ。
だが、その野望も脆くも崩される。

今の拓也ちゃんは暴走特急だったのだ。

躁相の出ている拓也ちゃんは、わがまま王だったのだ。
俺以上にわがままで自己中の男になっていたのだ。
理由はわからない。

三時に処置の時間と言うのがある。
処置とは、例えば慢性的に水虫の人に薬を塗るとか、作業中に怪我をした人に外科的な処置をするとかそういう時間だ。
俺はアトピー性皮膚炎なので、決まった薬を塗りたくられる。  

その処置の時間に、俺が廊下で並んでいると、拓也ちゃんがつーっと俺の隣に並んで、俺の顔をじっと見て、

「俺の方がいい顔してるぜ!!」
と叫んで、最後にふん!と鼻を鳴らして帰っていった。

訳がわからない。
神様が見えている人はさすがに違う。
確かに俺と拓也ちゃんでは拓也ちゃんの方が美人なのはあきらかなのだけど、わざわざ言う必要があったのだろうか。
何かの確認作業なのかもしれない。



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