ご飯を食べる時には俺達は部屋ごとに並んで食器を取り、食事をトレーに乗せていくのだけど、拓也ちゃんはそんなことはしない。
お姫様よろしく、フリースタイルの食事なんてしないのだ。

看護士が、
「長谷川さん、食事を持ってらっしゃい」
と言おうが、誰か親切な人(それは大概同じ部屋のカオル兄さん)が持ってくるのを待っているのだ。

たまに気が向いたのか、食事を持とうとして食事の列に並んだりもしているが途中で飽きて黙って部屋に帰ることもしばしばあった。
俺はその様子をじっと見ていた。
拓也ちゃんの行動は面白かった。

俺と同じように、でもそれは恋をしているように、徹は拓也ちゃんをみていた。
勇志さんは敵の行動を盗み見るようにしていた。
俺たち三人はプチ拓也ちゃんファンクラブになっていたのだった(勇志さんはちょっと違うけど)。

毎日俺と徹は、その日拓也ちゃんがやっていた事について語り合った。
俺は拓也ちゃんが薬を貰う為に並んで自分の番が来た時に、口の中に一旦薬を入れて、看護士を背中にした時に水を入れたコップの中に薬を戻すのを見た。
俺も病院で出される薬は嫌いだったから、同じ方法で薬を捨てていたのだった。

この手法は、徹から教えてもらったものだった。
それを徹に言うと、なんだかすごく嬉しそうで、喜んでいた。
徹は拓也ちゃんがデイルームで昼寝していたのを見たと言った。
拓也ちゃんは口をうっすら開けて寝ていたから、一筋ヨダレが出てたと言っていた、拓也ちゃんが流すヨダレはアオちゃんのヨダレと違って全然きれいな物のように感じたと言っていた。
 
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