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近の気配から遠ざかるようにして逃げる。
自動ドアが壊れて、ずっと開いたままになっている。
そこを二人で走り抜ける。
外に出ると、一台の黒塗りの乗用車が目に入った。
誰も乗っていない。
運転席側から中を覗く。
キーが付いている。
誰の車か判らないが、乗ることに決めた。
車の運転だけなら依栖にも出来る。
運転席に依栖を押し込む。
裏側に回り、助手席に乗り込む。
ドアを閉める。

「どこまでも逃げるぞ、依栖。ほんでもっかいエスを救い出す」

救い出すのはどこからか。
何も語らず、信用の出来ない存在になった近から。
エスを奪ったのはKではないだろう。
Kは確かに、もう依栖には用は無いと言った。
だが圭には用がある。
理由は判らないが、どうしても依栖とエスを融合しなければならないという義務感が圭にはある。
なんとかしなければ。

「ともかく、発進や。依栖、どこまでも遠くや」

依栖がキーを回した。













高速道路をSインターチェンジで降りる。
「終わり」の第三アジトのあるS区に向かう。
依栖が無表情で運転をする。
助手席で圭が思考をまとめる。

Kは多分、S区のアジトにいるはずだ。
あの男はきっと知っている。
事故の事。
そこをまず解決したい。
アジトと思われるマンションの近くに車を停める。
助手席から降りる。
運転席のドアも開いて、無表情の依栖が出てくる。

「さて、どっから行くかいな」

顎に手をやり、少し悩む。
マンションのどの部屋かはわからない。
もしかしたら、ここではないのかもしれないし、このマンション自体が根城かもしれない。
すると依栖が勝手に歩き出した。

「オイコラどこに行くねん」

止めようとしたが依栖は真っ直ぐにマンションに向かって歩いていく。
仕方なくその後をついて行く格好になる。



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