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「コイツが俺のボディを撃ってん。意趣返しは俺の権利やろ」
「兄さんには俺は撃てないんですよ。知ってます」

Kが言うと、近は少し身を引いた。

「ほうか。お前は『自覚』があんねんな」
「俺は圭を補完する事は可能ですからね」

圭は何も通じない。
判らない。
混乱した頭で、
この二人が自分に何かを隠している事を考える。
事故。
事故とは?
記憶とは?
俺とKとの融合?
自覚?

「何言うてるかわからへん!わからへんぞ!」

Kが答えた。


「お前が、俺のコピーなんだよ、圭」


小鳥の囀り。
暖かい風。
圭は言葉が出なかった。

「…何言うてんジブン。ジブンが俺のコピーやろ」

「そう。元々はね」

そう言うとKは窓の近くに寄った。

「また逃げる気か!」
「これ以上余計な事を言ったら兄さんに殺される」

ふ、と笑うとKは窓の下に飛び降りた。
圭も慌てて窓枠に近寄る。
3階。
Kがカワサキの黒いバイクに乗って逃走するのが見えた。
もう追えない。

「言うてる意味がわからへん。どゆことやねん、チカ兄!」

圭は近を見た。
眉を寄せて、細い目で圭を見つめている。
近が口を開いた。

「お前は事故で死んでんねん」
「事故?」

また事故だ。
圭は混乱する。
近が圭に近寄った。
手を伸ばし、圭の頭を撫でる。

「疲れたやろ。ちょっと寝とれ」

近が圭の左耳に触れたと同時に、圭は失神した。



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