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自分の心に言い訳をして、周りの男達を狙う。
あれらは捕獲の対象だ。
三発撃ち込む。
一発だけ、マッシュルームカットの青年の腕を撃ち抜いた。
隣の擬似依栖も迎え撃っている。

圭と擬似依栖が6人の「終わり」メンバーと戦っている最中、東京市民達とスタジオ上の幹部達は「はじまり」の同志達によって避難させられていた。
その避難経路を逆流するように、近が走ってきた。

「圭!大丈夫か!」 
「大丈夫ちゃいます!」
「行ったる!」

近は立ち止まってアサルトライフルを構える。
圭は瞼を強く閉じた。
エスが死ぬ。
近に殺される。
遂に最後の瞬間か。
騒動の中、一発の銃声が圭の耳に響いた。
スローモーションで瞼を開く。
鮮血が噴水の様だ。
圭の頬にも赤い血飛沫がヒタヒタと付く。
手の甲で拭う。
隣の依栖を見る。
無表情に突っ立ったままの依栖は真っ赤に染まっていた。
血だ。
血なのだ。
これは血だ。
エスが撃たれたのではない。撃たれたのは。

近だ。

近が胸部から流血している。
物凄い血液の量。足元が水溜りになっている。

「チカ兄!」

圭が叫ぶと同時に近は前のめりに倒れた。

辺りが一瞬静かになる。

なったかのように、圭には思えた。
エスを見る。
エスも目を見開いて驚いている。その後から。
K。その手には九十四式。硝煙が立ち昇っている。

「兄さんはウルサいね」

Kが笑った。

「何してくれてんねん!」
「見た通り。近兄さんがいなければ、圭(キミ)は何もできないからね」
「出来るわい!」

圭は自分の九十四式を構えた。
隣の依栖も無表情に44マグナムを構える。
同時に撃つ。
躊躇いは無かった。
だが圭の弾丸はKには当らなかった。


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