電話に出た。
いきなり、情けない声。
「トシくん、シャンディの材料ありますか」
「あります。って言うかジンジャーが無いって話ですよね?ショウさんとこに無いんですか、居酒屋の癖に」
「無いんだよー。発注し忘れたんだよー」
時折裏返る、高音の妙な声。
情けないなぁ、とトシは思う。
顔はカッコイイのに、抜けてる所がある。
「トシくん、ジンジャー五本位分けて、ってマスターにお願いしてよ」
「お願いするだけならしますけど…」
「で、トシくん持ってきて」
「その指示はマスターがするんで」
「トシくんの顔が見たいなぁ」
照れてしまう。
電話で良かった。
それに店内に誰もいなくて良かった。
客もいなければ先輩方の姿もまだない。
一人で良かった。
「マスターに連絡してから、また電話しますんで…待ってて下さい」
「ありがとうトシくん!大好きだよ!」
直球の言葉にまた赤面してしまう。
俺だってショウさん大好きだよ。
馬鹿。ばーか。
電話を切って、誰もいないメンズパブの店内で、
「ばーか」
言ってやった。


20090523完
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