オナニープレイね、なるほど。

そう言えば、と杉浦はある光景を思い出した。
高速道路、サービスエリア。
端の方に駐車された大型トラック。
隣に軽自動車が停まり、その助手席から出てきたのは20代前半のミニスカートの女性。
大型トラックの助手席側に回ったと思ったら、軽自動車は物凄い勢いでその場から離れていった。

デリバリーヘルス、と判ったのは数秒後の事だった。

あの大型トラックの中はきっとこんな状況だったのだろう。

今になって、思い出す。3年くらい前のこと。

菅野の舌が杉浦のペニスを刺激する。
突いて、舐めて、しゃぶって、菅野の唾液塗れにする。
ぬらぬらと光る自分の物に、快感と共に恐怖を感じる。
菅野の言いなりだ。
いつも言いなりだ。
どうしてか、体は正直だ。
菅野に与えられる快楽に溺れてしまう。

咥えながら杉浦を見上げる。
菅野の息が荒い。
大きな目が弓形になる。笑っているのだ。

激しく発射しそうな勢いの、もう耐えられそうに無い杉浦を見つめて、笑っているのだ。

「だひていいんでひゅよ」

出して。いい?

「ぼくのみこみますから」

その言葉だけははっきりと聞こえた。
菅野の口、顎の動きが早くなる。
激しいストローク。
杉浦は菅野の頭を両手で抱える。

「んっ…」
我慢しきれず、杉浦は菅野の口の中に発射した。
搾り出すように吸い上げられる。
ゴクリ、と菅野の喉が鳴った。

唇の端から少しだけ、白い液体が見えた。
菅野は杉浦のその視線に気がついたのか、右手の親指で擦るようにしてそれを撫でて、舐めた。

まだ力を残しているかのようにそそり立つ杉浦のペニスの横に顔を傾けて、菅野は自分のペニスを扱く。
呼吸が荒くなる。

ああ、と小さな声が漏れて、どうやら菅野も達したらしい。
手にしたティッシュでそのまま精液を拭き取る。

顔を上げて、ニヤニヤと笑う。

「車、倒して挿入しちゃった方が面白かったですよね?」
「何を考えてるんだ君は…」
「楽しいことしか考えてませんよ?スッキリしたでしょ杉浦さんも」

それは、まぁ。

窓の外に意識を向ける。
相変わらず道路を進む車はすべてノロノロとした速度だし、雪もさっきよりやや多めに降ってきているくらいだ。
何も変わっていない。
外の世界は何も変わっていない。

杉浦と菅野が使うこの社用車の中だけが、快楽を求めていた。
それだけだ。


20091122完




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