モバイル担当岡部です。

本日、非常に不穏な空気がブロバンの方で流れてます。

どうやら遂に、宮川くんがバカコンビにキレた模様。

宮川くんがバカコンビと一緒に売り場から消えて10分。
どうなってるんだろう。
宮川くんには悪いけど、菅野さんにやり込められてたらいいと思う。
上司に逆らったっていいコトないよ。
まして相手はバカコンビ。
天然役立たずのダメウラさんに、腹黒キングお調子者のバカンノさんだよ。
話になる訳が無い。


と思ってたら。
奥から杉浦さんと菅野さんが戻ってきた。
PCコーナー通り過ぎて、こっちに向かって来る。
様子がおかしい。
珍しい。
菅野さんがやたらと神妙な顔してる。
笑ってない。思案顔。
杉浦さんは眉を八の字に下げて、俯いている。
時々菅野さんを見つめて。

モバイルのカウンタ内に入って、二人で小声で何かを話している。

聞き耳立ててた訳じゃないけど、ちょこっとなんかが聞こえてきた。

バレてたとはなあ、とか。
脅迫ですよあんなの、とか。
どうしようかんちゃん、とか。
大丈夫ですよ杉浦さん、とか。

なんだなんだ。
何があったんだ。

唐突に、菅野さんに呼ばれた。
「岡部くーん」
「はいっ」
駆け寄る。

二人がじっと僕を見つめる。
困った様な顔をしている。
「どうかされました?」
「あ、うーん…実はさ、ホラ、月初に宮川くんが入院してたじゃない」
杉浦さんがチラチラと菅野さんを見ながら僕に言う。
「で、ねー。体も万全じゃないからさ、公休は公休でちゃんと休んで貰う事にしたんだ」
「そうなんですか」
菅野さんが後を次ぐ。
「岡部くん、その時は君にブロバンの契約やってもらうね!」

え?

「ええ?僕ですか?出来ませんよ!?」
「大丈夫、ちゃんと宮川くんが教えるから。モバイルより簡単だよ。安心していいよ」
そんな事言いながら、何故か杉浦さんは落ち着かない。
変だ。
菅野さんもチラチラと僕の顔を伺ってるし。
なんか、変だぞ!?


杉浦菅野のバカコンビが昼飯食いに出かけたら、宮川くんが帰ってきた。

こそこそとPCコーナーに向かって、仕事の話してるっぽく、聞いてみた。

「何があったんだよ」
「あー」
宮川くんは無気力な無表情さでこう答えた。

「杉浦さんと菅野さんて、デキてるんすかって言ってやったんだけど」
「えええええ!?」

そんな。
それは宮川くんの思い込みじゃなかったっけ。
どう考えたって、まさかそんな。あの二人が。
想像出来ない。

宮川くんがため息。
「ダメだった。通用しなかった…何を証拠にって笑われた…くそー、あちこちで俺は見てんだよ。ちくしょー。今度見たら絶対写真撮ってやる!菅野さんに『疲れてるんだな。ちゃんと休み取らないとな』って言わせるのが精一杯だった…やっぱり勝てねーよバカコンビには…」
「その話なんだけど」
「なんだよー」
「僕が宮川くんの公休の時に、ブロバンもやるんだってさ」
「あ、そーなの。頼むな、岡部っち。頼りにしてる」

そしてまた、ため息。

やり込めたかったんだろうな。バカコンビを。
それなのに菅野さんの返り討ちにあったんだろうな。
可哀相に。
心中お察しします。

まあでもちょっとだけ、今は宮川くんの話を信じてもいいかなって思ってる。

だってあのバカコンビの表情、漏れて聞こえた会話の端っこ。

もしかしたら本当に。

って、少しだけ思った。
少しだけね。


20090826完




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