エレベーターで階下へ向かおうとする。
12階から地下一階へ。
「杉浦さん、この時間帯ってね、誰も乗ってこないんですよ」
「へー。そうなんだ」
エレベーター待ちの間の会話。
降りてくるのを待つ。
背後の菅野に嫌な気配を感じる。
杉浦はつい、尋ねてしまった。
「何考えてるのかな菅野君」
「今からエレベーターに乗って、キスしましょう」
「イヤだよ」
即答。
振り返ると菅野がニヤニヤと笑っている。
何かに似ている、と思った。
菅野はお構いなしに続ける。
「キスしても大丈夫ですって。だって誰も乗ってこないんだから」
「イヤだよ。菅野君うそつきだもん」
「嘘はつきません。クレームになるから」
「そんな冗談はいいよ」
エレベーター到着、乗り込む。
行く先のボタンを押すと、扉が閉じて二人きりになった。
「杉浦さんと賭けです」
「イヤだってば」
「このまま誰も乗ってこなければ杉浦さんの勝ち。僕なんでもします」
「かんちゃんが負ける賭けなんかする訳ない」
「そんな事ないんですよ」
そっと、菅野が杉浦の手に自分の手を添えてきた。
「菅野君」
「今日の僕は杉浦さんの言いなりになりたいんです、だから負ける」
そう言って、唇を杉浦の顔に近づけてくる。
顔に両手を添えて。
その表情は杉浦の好きな物で、この顔には抗えなくなる。
好きな顔。好きな表情。
言いなりなのはこっちの方だ。
そう思いながら、菅野に口付ける。
菅野は平気で舌を挿入してくる。
どうしてこう、こいつは。
杉浦は自分にも菅野にも腹を立てる。




<書きかけです/20090516>



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