泡塗れの菅野の腰を掴む。
そっとペニスを穴に宛がう。
菅野の背中が強張っている様子が伺えた。

「かんちゃん、いい?…息吐いて…?」

返答は声にならず、ただ、菅野は頷いた。

いきり立ったものを進入させる。
狭さ。苦しさ。
それを二人で同時に感じあう。
時間をかけて奥まで押し込めて行く。
菅野の体内を確認するように。

菅野は杉浦を受け入れながら、ゆっくりと息を吐いていた。
完全に結合した時、杉浦は思わず呻いた。

菅野が静かに、上下に腰を揺らしてきた。

「ちょっと、かんちゃん、あんまり動かさないで…」
「…って…だって…」

体を倒して、菅野の耳元で囁いてみる。
「だって、なぁに?」
「…って…だって杉浦さ…ん…」
「うん、どうしたの…自分で動かないで…お願いだから」

暴発してしまいそうだ。

「って、だって…き…気持ちイイんだ…」
湯面すれすれに紡がれる言葉。
水中で、何かが見えた。

菅野が、右手で自分のペニスを扱いている。
「駄目だってば、かんちゃん」
「だって」
「自分でしちゃ駄目だよ…僕にさせて」
「や、やです…やだ…杉浦さんに触られたら…」
「触られたら、どうなるの」
「で…出ちゃうよ…」

こんな会話の間も、ずっと、菅野は腰を揺らし、杉浦を刺激する。
出てしまいそうなのはこっちだ。

せっかくのこんな良いホテル。高級な、高価なホテル。

セックスするだけのホテル。

勿体無いじゃないか。

もっと、もっとかんちゃんを味わいたいのに。
もっとかんちゃんの中にいたいのに。

有無を言わさず、菅野の右手を剥がす。
菅野のペニスを奪う。
顎を仰け反らせて、菅野が呻いた。

「駄目だって、駄目です、杉浦さん…」

菅野の肩に唇を這わす。
続けてうなじに。
耳に。

顔を傾けた菅野の唇を貪った。

さっきのお返しだ。
いつも。
いつもいつもいつも。
いつだってかんちゃんは僕を馬鹿にして。
小さいくせに、僕を見下ろして。
いつだって僕の方が下なんだって思わせる。

杉浦の中の、菅野に対する愛情や憎悪が、一つになる。



       

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