「かんちゃん、後ろ向いて」
浴槽の中で菅野の体を反転させる。
湯の中で、菅野を軽く動かせた。
菅野が浴槽のへりを掴む。
振り向くようにして、杉浦に言う。

「エロいですね杉浦さん」
「うん、エロいよ僕」
菅野の背中を抱きしめるように。
細い首。襟足に口付ける。
菅野が小さな声で言う。
「ムッツリスギサマ」
「オープンカンカン」
そう答えると、菅野はクヒヒ、と妙な声で笑った。

菅野の尻の穴を後ろから探る。
表面に指で触れると、菅野は体を仰け反らせた。
反応がいい。
この雰囲気のせいだろうか。
柔らかく優しく触れながら、徐々に中に指を侵入させて行く。

「苦しくない?」
「大丈夫…です」

そう言いながら、深く、息を吐く。
漏れるような吐息がいやらしくて。
指を入れながら、もう一度背後から菅野を抱きしめるようにして首筋にキスをしてみた。
菅野は俯くようにしながら顔を横に向けた。
その唇に口付ける。
舌で舐めまわす。舐めあう。

菅野の呼吸が荒い。
浴槽の中で四つん這いになった菅野の細い手足が、泡で見え隠れする。
人差し指が完全に菅野の中に入っていた。
ゆっくりと動かす。拡張。
振動を感じる度に、菅野が小さな声を上げる。
添えるようにして、中指を挿入。

「あ…杉浦さん…」
「なぁに。苦しい?痛いかな…」
「痛くない…気持ちいい…」
「そう。良かった」

デジャブ。さっきの会話。立場が逆になっている。

空いている左腕を使って、菅野の体を引き寄せた。
穴に入った指が一気に深く、菅野に突き刺さる。
菅野は大きく嬌声を上げた。

「杉浦さんっ…」
「うん、かんちゃん…かんちゃん」
「杉浦さん…」

呼び合う。
正座の姿勢で菅野を自分の膝上に座らせて、菅野を背中から抱える。
左手で菅野のペニスを掴んで、ゆっくりと扱く。
前後からの攻撃に、菅野は顎を仰け反らせて喘ぐ。

菅野の尻に杉浦の勃起しきったペニスが当たる。
わざとなのか、菅野が腰を振ると、それが擦られて気持ちいい。
素股。
そんな単語が杉浦の頭の中を過ぎった。

杉浦を呼ぶ声が小さくなる。
あんなにハキハキと物を喋る菅野が、こういう時に静かに、大人しくなる。
それが愛おしい、愛らしい。
少年を抱いている様な感覚。
実際にはそんな経験は無い。
だが、細くて贅肉の付いていない無駄の無い菅野の体が頼りなくて。

ズルリ、と音がする様な勢いで、指を抜いた。
菅野が声を上げた。
「杉浦さ…なんで…」
「なんでじゃないよかんちゃん…かんちゃんばっかりズルイでしょ」

かんちゃんばっかり気持ちよくなって。

言葉にしなかった言葉を、菅野は感付いたのか、姿勢を元に戻した。
四つん這いになって、最初と同じ様に浴槽のヘリに手をつき、自分を支える。


       

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