例えばプレゼンでもそうだ。
ウケると思えば過度の冗談も言う。
飲み会になれば拍車が掛かる。
菅野が酒に強すぎるから、負けたくない気持ちからか笑いを取ろうとしてしまう。
それで滑って結局菅野にいい所を持っていかれる。
そんな次元の話じゃない。
調子に乗る所か悪乗りのし過ぎだ。
本当に菅野と『やっちまった』なんてのは。
嫉妬が強すぎて菅野を抱いたのかもしれない。そんな事を考え始めるともうお終いだ。気持ちが悪くなる。
調子に乗るが後で猛省するA型。そう竹中に言われたっけ。
「そんでぇ、カンカンは調子に乗っても誰も止められないO型でしょ。タケナカは自己愛激しいBですケド。タケナカ、スギサマが好きなのにどっちかってゆーとカンカンの方が血液型的には相性いいんですケド。むかつくーライバルなのにぃ」
「ライバルって言うならタケちゃん、菅野君より売ってよ…その両手にしてるのはなぁに?」
「ケータイデンワですケド?」
それが杉浦と菅野が商品として販売している物だ。
群雄割拠、とは言えない市場。自社商品の売れ行きは全国的には良いものの、杉浦・菅野が担当する区域は苦戦している。
その中でも菅野は売ったのだ。派遣社員から正社員に、それから今の管理職になるまで一年経っていない。
強烈なデビュー。鮮烈なスタイル。
その時から菅野は部下として可愛かった。
ハキハキとした受け答え。明朗すぎる販売方法。見かけも込みで可愛かったのだが。
こんな風になるともう「可愛い」とは言えない。
「杉浦さん早く」
未練たらしくPCを見つめていた杉浦に、後ろから抱き着いてくる菅野。
可愛いなんか通り越して、憎たらしい。
猫の様に額を杉浦の首に擦り付けてくる。
ああ、このパターンは。
杉浦は思った。
本店見回りの後は繁華街のホテルで休憩か。
ネクタイ引っ張られて引きずられていく自分を想像する。
プレゼンの原稿の仕上がりは12時間後と踏んだ。



20090514完





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