「杉浦さん、僕を見てくださいよ」
「うん」
「やっと二人きりになれたんだから」
「うん」
そう言いながらも、照れてしまって、菅野を見つめられない。
菅野が覗き込んでくるが、瞼を閉じてしまった。
その隙に唇を奪われる。

菅野の舌が杉浦の中に進入してくる。
それを捕らえると、何よりも甘美な味がした。
脊髄に電撃を感じる。
菅野以上にキスを上手にする人物に巡り合った事が無い。
女性の柔らかな唇よりも、菅野の、薄いのにも関わらず膨らんだ唇が、心地良い。
離れられなくなって、杉浦は自分も菅野の中に舌を潜り込ませる。
菅野の口内。温かい。この温度。湿度。確認する。


キスをしている間に興奮してくる。
股間が熱くなるのを自覚する。
それに気付いたのか、菅野の手が杉浦のそこにあてがわれた。
唇を離した。
「早いよかんちゃん」
「早くないですよ」
「風呂入ってからじゃないの」
「ピザ来てから、ですかね」
そんな会話を密着しながら。
それでも菅野の手は杉浦の股間を弄るのを止めない。
布の上から擦られるのは、好きだ。
菅野の、男にしては小さめの手がしなやかに動いて、感じてしまう。

「かんちゃん」
「凄いですよ杉浦さん。こんなにしちゃって」
「うん」
「僕でここまで感じられるんだもんな」
「うん」
責める様な口調。

菅野で。
男の手で擦られて、感じてしまうのは罪悪だとでも言う様に。
菅野に言葉で責められて、またペニスが敏感に反応する。
物理的にも精神的にも、菅野に責められる事で杉浦は過敏になってしまう。
たまらず、もう一度菅野の唇を求めた。
菅野もそれを受け入れる。
杉浦も菅野の股間に気付く。
勃起している様子が伺えた。

かんちゃんも気持ちいいんだな。

手を菅野のそこに伸ばそうとした時に、チャイムが鳴った。

唇を離し、お互いに見つめあった。
小さな声で菅野が言う。

「ピザだ」

ニコニコと嬉しそうに。

杉浦から離れて、ソファから立ち上がる。
菅野は玄関に進みながら、腰のポケットから財布を取り出した。
内扉を開け、杉浦の姿が見えないように閉めて。

その背中を眺めながら、やはり杉浦は思う。
菅野のようには出来ない。

さっきまで勃起するようなキスをして、すぐに知らない顔でピザ屋と顔を合わせて会計をする。
そんな事は出来ない。
僕にはムリだ。
恥ずかしい。
そんな自分を少しだけ情けないと思う。
思いながらも、全部菅野に任せたらいいのだとも思った。

玄関先から大きなピザの入った箱を持って菅野が戻ってきた。
ニコニコと笑っている。
嬉しそうだ。

「食べてから、さっきの続きしましょうね」
「そうだね」
「風呂でイチャイチャしましょう」
「そうだね」

何をするにしても楽しそうな菅野を見るのが、面白い。
急速にペニスが萎えて行くのを感じたが、それは後回しだ。
菅野は杉浦の隣に戻り、ピザの箱を開けた。
杉浦はテーブル上のリモコンを手にして、テレビを付けた。
バラエティ番組。
テーブルの上に出しっぱなしにしていた缶ビールは表面に汗をかいていた。

「温そうだね。冷えた奴飲もうか」
「賛成です」
杉浦は備え付けの冷蔵庫に向かい、そこから2本、缶ビールを取り出す。
その冷蔵庫の隣に、持込用の冷蔵庫があった。
そこへ温くなってしまった缶ビールを6本押し込んだ。



       

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