運転しながらニヤけてしまった。

見渡す限り田園風景。
青い稲!
青い空!

ひたすらに直線の道路を白い車が走って行く。
菅野の社用車。

この道をあと2時間、北に走らせると杉浦に会える。
2週間と5日ぶりに会える。
会ったら、抱きあえる。愛しあえる。
早く会いたい。
自然と顔面が緩む。
ただでさえニヤニヤ顔だと言われているのに。
それでも顔の筋肉が綻んで行くのを止められない。


「そない杉浦くんが好きなんか」

助手席の平塚が予告無く。
突然の質問だったが、菅野は何も考えずにただ、

「ええ、とても!」

と答えた。

好きだ。
好きだ。
大好きだ。
杉浦と言う人物がいるから、今の自分がある。
菅野を前進させる原動力。

平塚はキキキ、と妙な引き笑いをする。
菅野も笑う。

「君が褒め讃える程そんなに出来る男とは思えんけどねぇ」
「そうですか?杉浦さんは優秀な人です。僕なんかより」
「ならなんで君に昇進で負けとんの」
「僕が杉浦さんを踏み台にして蹴飛ばしたからです」
「酷い話や!」

平塚は豪快に笑った。

「つまり君は、安心出来ない危険人物やねんな菅野くん」
「そんな事はないですよ」

そんな事は無い。
ただ、人生に腐っていた自分に生きる希望を与えてくれたのは杉浦だ。
この先、ズルズルと呼吸するだけの人生を歩む筈だった自分を信用し、信頼し、価値を与えてくれたのは杉浦だったのだ。

杉浦無しでは今の自分は存在し得ない。

よく杉浦は、菅野を太陽に例えるが、杉浦こそが自分にとっての太陽だと菅野は思っている。

肉体的な関係については勿論触れずに、杉浦についてそう、平塚へ語った。

平塚は興味深気に、熱く語る菅野に耳を傾けていた。
時折頷き、時折相槌を打ち。
微笑みながら。

「大好きやねんなー」 
「ええ、とても」
「嫉妬するわ」
「そうですか?」
「君に認められる男が羨ましなー」
「そうですかぁ?」

ヘラヘラと、ニヤニヤとしてしまう。

自分と杉浦は離れていても変わらずいいコンビであると自負している。

もうすぐ会えると思えば心が躍る。

つい、ハンドル捌きが荒くなるが、急ブレーキにも平塚は微笑み楽しそうにしていた。

空と地は青。


20090719完


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