杉浦の脳の中身が菅野とのセックスを予見する。
腹立たしい。
どうしてこんなにも菅野に惹かれるのか。
体か?心までも?
目の前に妻がいてさえ、自分は菅野に挿入する自分を思い描いてしまう。
整列した顔のパーツが歪む瞬間。
自分を呼ぶ声。
白濁した液体。
杉浦は頭を振った。
酔いすぎているのか。
記憶が一瞬以上欠落している。
既に妻達と別れて外に出ている。
自分の左側に、菅野。
「…支払いは…」
一番気になった事を最初に尋ねると、菅野は上目遣いに自分を見つめて笑った。
「杉浦さんがあそこまでの分を全部。ご馳走様でした」
「…でも美由紀と…菅野くんの奥さんが…」
「食べるの飽きたって言ってカラオケに行きましたよ?覚えてないの?」
「全く…全然覚えてない…」
「ホントに杉浦さんは体の割に…アルコール弱いですねぇ。て言うか僕に酔ったのかな」
菅野がケタケタともニタニタとも例えられない笑い方をする。
冗談じゃない。
こんなにコケにされて。
杉浦は菅野の片腕を強く握り、自分の側に引き寄せた。
小柄な菅野。
抵抗もせずに腕の中で。
今になって気がつく。
ラフな青いチェックのシャツ。細身のジーンズ。
自分が着ているのは、妻に言われるがままの。
「今日、お揃いですね杉浦さん」
菅野の着ている物にそっくりの、青いチェックのシャツとやや太めのジーンズ。
これじゃあ本気でゲイのカップルだ…。
菅野の肩に額を埋める。
ゲイのカップルなんだから仕方ない。
そのまま菅野の首筋に口づける。
耳へ。額へ。頬へ。
唇へ。
満足するまで菅野に自分の目印を付けたい。
酒のせいだけじゃない。
やはり自分は菅野に酔っている。
口づけて口づけて。
意地悪な小動物に。
天使の笑顔を持つ悪魔に。
自分は夢中なのだと認めよう。
「さて、どこに連れていってくれるんですか、杉浦さん」
唇を離した菅野が杉浦を覗き込む。
「…続きが出来る所だよ」
菅野がまた、ケタケタともニタニタともつかない笑顔で、笑った。






20090513完



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -