1−Aに入ると、マコの予想通り、お坊ちゃまくんがもう自分の席に座っていた。
ただ、一人じゃなかった。
 
すっげぇすっげぇ美人!な女子が、お坊ちゃまくんの隣の席に座って、二人でなんだか話してた。

お坊ちゃまくん…灘波くんの方は始終ムスっとした表情だった。
美人の方はにこやかで、昔からの知り合いみたいな雰囲気だった。
じゃあ彼女もマコの知り合いなのかな?って、マコを見たら、マコも唖然とした顔で、

「なんだぁアイツ。あんなキレーな女連れて」
って、全然知り合いじゃないみたいだった。
んで二人の会話も聞こえてきた。
ちっちゃい声で話してるから最初は聞き取れなかったけど、びっくりした。
日本語じゃなかった。
 
つか、英語だった。

たまに聞き覚えのある単語とか聞こえたから。

おー!なんじゃこりゃー!って思ってたら、マコがそっと
「灘波はずっと外国育ちなんだよ」
って、普通に言った。

そのままマコは灘波くんに近づいた。
美人がいるのに、そっちは気になんねーの?!
邪魔しちゃだめじゃんマコー!

って俺は思ったけど。
「おー灘波久しぶり。メガネしてんのかよ。勉強しすぎじゃねぇの?」
って普通に声かけた。

灘波くんはちょっとマコの顔を確認するように見て、
「兎澤か。相変わらず猿のようだな」
って、またフツーに、昨日も一昨日も一緒のクラスだったみたいに答えた。

「ケイ?どなた?私にも紹介してくださる?」
ってまた美人が、普通使わねーだろみたいな言葉で言った。
それは日本語だった。
 
「私は泉川小百合ですわ。ケイとはイギリスで知り合ったの」
「変な言葉遣いだなー。俺は兎澤誠。マコって呼ばれてる。灘波はそう呼ばないけどな」
「そちらは?マコ」
って、美人が、泉川さんが俺を見た。
「コイツはレッド。赤倉って苗字で、髪も赤いからレッド。昔っからレッドって呼ばれてるんだってよ。仙台から来た奴」
 
勝手に俺の自己紹介しないでくれマコ!

「レッド!素敵ですわ。私はリリーと呼ばれていましたの。そう呼んでくださる?」
つって、泉川リリーさんが右手を出した。
 
握手?
が、がいこくじんのしゅうかん…

俺は見くびられないように、出されたリリーさんの右手を取って、

「ハジメマシテ、レッドです。美しいなリリーさん…」
つって、手の甲にキスしてやった。

少々やりすぎくらいでやってやるって、ずっと決めてたから!
そっとリリーさんを見上げると、リリーさんは嬉しそうに微笑んでいた。
マコは俺の背中をバシっと叩いて、

「おめーって奴はちょっとツラが良いと思って何勘違いしてんだよ」
って、やっぱり笑ってて。

灘波くんは
「猿の友人は赤毛のオランウータンか…」
って、皮肉っぽく、笑ったけど嫌な感じはしなかった。

おお!オープニングは大成功?!
俺のイメージ戦略OK?!
やっぱりファーストインパクトは大切よね!

「意外と濃ゆい奴っちゃなージブン」

って振り向いたら、あーやん軍団。

えっ!?

きーたんも確実に俺を見てた。
ジュンさんって子も。
「バスケットマンヒデ、やんなあ?」

あーやん軍団がすぐそばに来てたのに気がつかなかった!

てかなんでその名前を〜!
モビゲーで使ってる名前だよ!

きーたんがニコニコして俺に言う。

「ヒデちゃん、毎日ウチらの所見てるんだモンウケるから〜!」

ジュンさんまで
「ああ、あんたが噂の。あたしの所にも足跡ついてた」

あしあとでバレてんのっ!?
ま、まあそうか、当たり前か…。

ジュンさんって名前には覚えないけどなあ。

「ジュン!」

俺の目の前のリリーさんが突然叫んだ。

ジュンさんは呼ばれて驚いてリリーさんを見た。

「あ!リリーじゃないか!あんたいつ帰って来てたの!」
「先月ですわ。まあ、まあ!素敵!ジュンとまた同じ学校に通えるなんて!」
…マコと難波くんみたいな関係なのかな?

ふとあーやんを見たら、なんかすごい大人っぽいホホエミしてた。

「ミラクル学園やなあ」
って声かけられた。

「あ、うん。そうだね」
フツーに返事した。

その時校内放送。
入学式の案内。

難波くんが立ち上がって
「行くぞ」

って。



なんかそんな感じで、名付けて「ミラクル学園」新生活がはじまったのでした。


【完】



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