![](//static.nanos.jp/upload/m/mujiknh/mtr/0/0/20090717220052.gif)
携帯が鳴った。
マコからのメールの音だ。
マコは、こっちに来てから初めて出来た、友達。
駅前のクリーニング屋に冬服を持って行った時に、マコが店番してた。
その時店の中にエミネムがかかってた。
俺は英語わかんないし、洋楽さっぱりなんだけど、姉ちゃんが聴いてたから曲だけは知ってた。
東京の子になって浮かれてたせいか、つい店の中で鼻歌ってしまった。
そしたらそれまで、カウンターで携帯いじってた奴が俺を見て、
「マーシャルサイコーだよなあ」
って。
笑いながら言ったのがマコだった。
マコはその歌を知ってるってだけで、俺を気に入ったらしくて。
持ち込んだ冬服は全部半額にしてくれて、その場で赤外線でアド交したら、同い年って事がわかって。
そしたら同じ高校に通うってのもわかって。
マコがいたから、この春休みは滅茶苦茶楽しかった。
マコは、俺とは趣味違うけどやっぱオシャレで、ストリートって感じの。
一緒にカラオケ行った。
恥ずかしいけど、俺はカラオケボックスって初めてだった。
地元にもあったけど、誘ってくれる奴もいなかったし。
でも歌は一杯知ってたから。
マコは俺の歌を、声を褒めてくれた。
「いいじゃん!お前ウマいなー!てか声いいよな!」
って。
俺内心めっちゃ照れてたけど、そういう風に思われるの嫌だったから平気な顔して
「そぉデショ?!俺ってなんでもできちゃうから参るのよー!」
って、おどけてしまった。
俺にはマコが眩しかった。
マコは元気で明るくて東京に住んでて昔からの友達も多くてオシャレで楽しくて優しくて面白くてダンスが好きで音楽が好きでかっこいいイラストとかも描いて、ちょっと顔は中の中くらいのフツーな感じだけど、それさえなんか、かっこよく感じられた。
なんかもう、マコみたいになれたらなぁって、こういう「友達」が欲しかったんだよなぁって、思った。
マコからのメールを見た。
おまえんちから裏の家見えるよな(?_?)
即返信。
見えまくり〜(@д@
マコからすぐに返ってきた。
そこんちに俺らとおんなじ位の奴がいんだけど、見た?
みたぅぉ!なんか気取ってる人でひょ?さっき車で来て家に入ってったぅぉ
マジデ わかった 今からお前んち行くからよろ ついでに赤のコートできたから持ってく
なんかよくわかんなかったけど、とりあえず「了解(^^ゞ」って返した。
じゃあ制服脱ぐかなってネクタイに手をかけたらまたマコからメールが来た。
そこんちの奴も多分今度から俺らと一緒に高校行くはず
灘波って奴なんだけど
俺も久しぶりに会うからどーなってっか知らないから見に行く
へ〜え〜って思った。
まぁあんな金持ちそーな人とは近所だけど俺はトモダチになれそーじゃないし。
関係ないよなーって思った。
そんで、マコはやっぱり凄いって思った。
どーやら久しぶりに会う奴らしいけど、あんな世界の違う風なヒトとも付き合えるんだろーなーって。
俺はマコを迎える準備をしながら、ああ、やっぱりテレビは早めになんとかしなきゃなぁって思った。
【完】
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