![](//static.nanos.jp/upload/m/mujiknh/mtr/0/0/20090717220052.gif)
俺、パーフェクト。
オレサマ完璧。
どこから見ても、都会の子。
制服は少し自分で改造した。
ウエストをタイトにしてみた。
自分でつっても、田舎の母さんにやってもらったんだけど。
髪の色を変えた。
真っ赤にした。
フツーな茶髪が嫌になったから、こっち来てすぐに憧れだった美容院に行ってカットとカラーをしてもらった。
正直似合いすぎて、自分が怖い。
ヤバい。
俺って、かっこよすぎる。
一人暮らし用に借りたマンションは、叔父の資産の一つで、家賃無しで一部屋貰ったけど、家具は殆どなくて。
ベッドと衣装ケースと、スタンドミラーだけ。
テレビは無い。
その内叔父にねだってみようと思う。
だってやっぱ、テレビはないとヤバいでしょ。
ついてけないのは悔しいから。
置いてけぼりはマジ勘弁。
都心からずっと離れてて、静かなんだけど、やっぱ都会な空気。
叔父のマンションは名前こそマンションだけど、大したことない、フツーなワンルーム。
ただ、風呂を見て安心した。
渋谷で泊まったビジネスホテルのみたいな、ちっちゃなユニットバスを想像してた。
覚悟してた。
そこはさすが、田舎育ちの叔父だ。
狭い風呂じゃなかった。
そりゃ実家の風呂に比べたらかなり狭いけど。
一応バスタブとトイレは別の部屋になってた。
安心安心。
五階の部屋から見えるお隣は、ビックリするほどのお屋敷だった。
敷地の広さとシッブい日本家屋。
このサイズは、俺の地元じゃ別に珍しくないんだけど。
でもここ東京だよ。
滅茶苦茶広いって。
何やってる家なんだよって。
明日着る制服のままで、アクセのコーデ考えつつ隣んちを見てたら、車が一台入ってきた。
名前知らないけど、外車。
白い手袋してる運転手さんが、左側にいるし。
助手席には誰も見えない。
車がお屋敷の玄関前に到着。
運転手さんが降りて、後部座席のドアを開けたら、降りてきたのは。
ガキだった。
ガキつか、俺くらいの年齢かなー。
まあそれくらいのガキに見えた。
俺は勉強しなかったから視力めちゃめちゃ良くて。
かなり距離あるけど、そのガキの様子がよく見えた。
ガキの癖して、ナニアレ。
似合わないオールバック。
メガネ。
高そうなコート。
高そうなピカピカの靴。
高そうな綺麗な色のマフラー。
高そうな、金持ちのビジネスマンが持ってそうな鞄。
そーゆーファッションに対して、顔が。
渋谷でみた「あーやん」くらいの、なんつか、中性的な顔。
「あーやん」は間違ったけど、ソイツはちゃんと男に見えた。
同じ間違いは繰り返さないぜ、俺は。
でもやっぱソイツもなんだか綺麗な顔立ちって奴で、しかもやっぱさすがお金持ちみたいな感じで。
ああ、品がいいってこういう感じかな?みたいな。
ソイツは背筋をピシッと伸ばして、前を真っ直ぐ見てて、そのままお屋敷の中に入って行った。
有閑倶楽部みたいな奴もいるんだなー。
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