「田中!」
「んー?なに?」
「田中って弟居るんだってね。紹介して!」
「えー…いいけど、なんで?」
「面白そうだから」


田中とは同じクラスの親友であり悪友でもある。そんな田中には一個下の弟がいると聞いて、その弟くんに会いたくなった私は冒頭に至る。田中の弟くんとか面白そうだ。ただ詳しく話を聞いてみれば仲が非常によろしくないとか。まぁ、年子の姉弟ってそんなもんだと思う、しかもお年頃だしね。そう言うとお前はババアかと田中に突っ込まれた。


「紹介するのはいいけど私あいつと極力話したくないんだよね」
「どんだけ仲悪いのさ。会うだけ会わせてよ」
「じゃ今日泊まりに来る?」
「行く!」


お泊まり頂きました!いやあ、田中ん家行くの初めてだし(三年間一緒だったくせに)弟くんには会えそうだし、明日のテストさえなけりゃ最高だったんだけどな。それじゃ今日夕方6時に家来て、と言われ田中と別れる。どんな子か、すごい楽しみだ。

家に帰ってお母さんに友達の家に泊まりに行ってくると言うと、スーパーで買ってきた安そうなクッキーの箱を私に手渡して、あんたって友達いたのね、と呟かれた。おい、失礼極まりないぞ。

部屋に入ってお泊まり用の大きいバッグに身の回りのもの、歯ブラシ、服、下着を入れていく。なんだか修学旅行みたいでわくわくしてきた。夕方6時なんて長すぎるよ、早く行きたい。
夕方6時までやることがない私は携帯を触ったりPSPをやったりと、いつもと変わらずに過ごした。夕方5時30分になると私は元気よく我が家を後にした。


田中の家までは自転車で15分ほどの距離。田中の家の前に来て電話をかけようと携帯を取り出すと、金髪の少年が前から歩いてきた。金髪だなんて派手だなーと思いながら田中のメモリーを探す。







「(…なんだこの人)」


自分の家の前で、しかも家出してきたような荷物を抱えている人物にヨシタケは首を傾げた。まぁ関係ないだろうと、家の鍵を取り出そうとしたとき。


「…あ、もしもし田中?私だけど…え?オレオレ詐欺じゃないって、なまえですよ。家の前に着いたけどチャリどこに置けばいい?…え、この金髪の少年が田中の弟くんなの?」
「(…イヤな予感がする…!)」
「あー…了解ー」






田中から弟くんに案内してもらって、と言われてしまったので携帯をポケットにしまいこみ、チャリから降りて弟くんに向き合う。弟くんは顔を引きつらせていた。あは、かなり警戒されてるよ。


(えっと、田中の弟くん)
(な、なんすか)
(そんな怯えなくても取って食いはしないよ)
(………)
(いやマジだって。田中…あー、君のお姉さんよりかは怖くないから)
(…そっすか…)
(あ、チャリどこに置けばいい?)
(…こっちです)


とりあえず、田中の弟くんに出会えました。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -