「てことがあったんだよ」
「へぇー、大変だったな」
「ヨシタケったら何かあるたびに俺に連絡してきてさー」
「そ、そう…(あれ、俺は?)」


ちょっとした疎外感を感じたタダクニに対し、ヨシタケはじと目でヒデノリを見つめる。途中からメール寄越さなくなったお前が何を言うか、と呟くとヒデノリは悪びれることなく軽いノリでヨシタケに謝った。そんな二人にタダクニはハァ、と溜め息をつきヨシタケに話しかける。


「まぁでもモトハルの二の舞にならなくてよかったじゃん」
「あー、だな。あの人、姉さんと正反対だったから助かったよ」
「そこから始まる恋ってのがあるかもな」
「いや、ないわ」


ヒデノリがにやけた顔をしてヨシタケをおちょくるが、ヨシタケは首と手を一緒に横に振って否定する。ムキにもならないヨシタケに、ヒデノリはつまんなーい、と口を尖らせた。ないわ、と言いきったヨシタケにタダクニは首を傾げる。


「ないわって、対象外ってこと?」
「え、いやー…まぁ対象外っていうわけじゃないけど」
「お前の姉の友達っていうからてっきりモトハルを襲った人たちの一人かと思ったけど、そうじゃないんだろ?」
「あー…多分」
「てかヨシタケの姉とモトハルの姉が友達なら、その人もモトハルの姉と友達かもしれないな。モトハルならその人のこと知ってるんじゃね?」
「「ああ」」


ヒデノリの何気ない言葉にヨシタケとタダクニは納得する。そうと決まれば、とヒデノリは携帯を取り出しすぐさまモトハルを呼び出した。
しばらくしてモトハルがタダクニの家へとやってきたのかチャイム音が鳴る。タダクニがモトハルを迎えに行くと、モトハルが息をきらして玄関に立っていた。何故息をきらしてるんだ、とタダクニは首を傾げながらモトハルに声をかける。


「どうしたんだよ、慌てて来なくてもよかったのに」
「いや、助かった。さっきまで姉ちゃんたちに絡まれてたんだよ」
「…お疲れさん」


どうやらモトハルにとったら呼ぶタイミングが良かったらしい。労いの言葉をかけるタダクニに、モトハルは安堵の息を吐く。
タダクニはモトハルと一緒に部屋へ入ると、ヨシタケとヒデノリがモトハルに向かって片手を上げて挨拶をする。


「おう、お疲れー」
「あぁ…で、なんだよ、用って」
「まぁまぁ、そう焦んなよ。ほら座れって」


ヒデノリが自分の隣に来いと言わんばかりに畳を叩く。モトハルはハァ、と溜め息をつきヒデノリの隣に胡座をかいて座る。タダクニもモトハルが座るのを見て、自分も壁に寄りかかって座った。


「オホン…お前を呼んだのは他でもない…」
「いやそういうのいいから。さっさと言えよ」
「なんだよ、それくらい乗ってくれたっていいだろー」


ブーッと口を尖らせてジト目でモトハルを見るヒデノリに、ヨシタケも全くしょうがないわねー、と何故かおネエ言葉で腕を組みヒデノリの悪乗りに乗り始めた。そんな二人をモトハルとタダクニはめんどくさそうに深い溜め息をつく。
二人の悪乗りをこれ以上酷くさせないためにも、とタダクニが本題を切り出した。


「モトハル、お前の姉の友達にみょうじさんっていう人いる?」
「みょうじ…?」


その苗字を口にしたあとモトハルは首を傾げ、眉を寄せた。本題を口にされてしまったので悪乗りするのをやめて、ヒデノリもヨシタケもモトハルを見つめる。
モトハルはしばらく黙り込んだあと、何かを思い出したのかハッと微かに目を見開き口を開いた。


「あぁ、そういえば──」


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