ヨシタケの姉はなまえを置いてモトハルの姉たちと遊んでいた。もちろんモトハルの姉たちにも事の経緯を話していた。日が暮れ、モトハルの姉がそろそろご飯作らなきゃ、という一言で解散となる。ヨシタケの姉はなまえと自分の弟が何をしているのか内心ワクワクしていた。自分の家に着き弟の部屋の窓を見る。
さすがに電気はついてるか、と姉はチッと舌打ちをする。弟やなまえに気付かれないよう玄関の扉を開けて靴を脱ぎ静かに階段をあがる。なまえの靴はあるが一階にいる気配はないし、廊下にもいない。残るは弟の部屋だけだ。姉は弟の部屋の前に来て、ドキドキしながら扉に耳をあてる。


「ズルッ!ヨシタケくんズルいよ!」
「いやこれゲームッスから」
「チッ、さすが田中の弟だけあるな…!」
「………」
「!ぎゃー!それはないわー!」


姉は絶句した。何をしているのだ二人で、と思ったが部屋から聞こえてきたのはカチャカチャ、と言うプラスチック同士がぶつかる音。そして愉快なBGMが部屋から聞こえた。それを聞いて姉は確信する。二人はゲームをしていることに。


「意味わかんねーよ!」
「えー!?」
「うわっ?!ちょ、姉さん!?」


姉は弟の部屋を力の限り蹴飛ばした。突然現れた姉に二人は驚き、目を丸くさせ凝視する。姉はギロリ、となまえを睨むとなまえは肩をビクッとさせてコントローラーから手を離した。


「あぁぁ、期待した私が馬鹿だった!」
「期待ってなにに!?ていうかそんなことよりいつ戻って来たの!?友達を置いていくなんて酷す」
「そんな話はあと!とりあえずご飯食べに行くよ!」


ズカズカと弟の部屋に入り、なまえの腕を掴む。なまえは姉に腕を引かれながらヨシタケに、ありがとうヨシタケくん!とだけ言ってその場を後にした。嵐が去ったヨシタケの部屋には○リカーのBGMがむなしく響く。


「な、なんだったんだ…?」


ヨシタケは首を捻ったあと、我に返ると今までの状況をヒデノリに報告するのだった。







ヨシタケの部屋を後にした姉となまえは牛丼を食べに吉○家に来ていた。


「ちょっと、田中、私お金部屋に」
「置いていったお詫びに奢るわ」
「!たっ、田中…!」


なまえは田中は私に悪いことをしたと反省してくれてたんだな、と感動するが田中の手にはなまえの財布が握られているのをなまえは知らなかった。とりあえず席に座り、牛丼並を2つ注文する。牛丼は注文したらすぐに来て、なまえは田中に箸を渡し牛丼に手をつけた。


「なまえ、あんたアイツに何にもされてないの?」
「え?ヨシタケくんに?」


何にもされてないと言われれば、本当に何にもされてない。そう伝えると田中は憐れんだ表情をして、フッと笑った。


「…女として失格ね」
「っぶえぇ!?」
「ぶえぇって何よ、そこから失格」


何にもされてないってだけで女失格と言われ、驚いたらその時点で女失格と言われてしまった。なまえは変なところに米粒が入ったのか、少し苦い顔をする。田中は肉とご飯を均等に食べていく。


「な、なんで女失格になるの?むしろ何かされてたら困るよ!」
「だって思春期の男女が二人で部屋っていったらアレしかないじゃん」
「あああアレって…!?」
「まぁ逆になまえとアイツがあんなことしてたら殴ってたけどね」
「あり得ないって!」


友達の弟とそんな関係になれるわけがない、となまえが言うと田中はそりゃそうか、と納得する。それにしても最初は期待してたとか言ってたじゃないか、と反論すると田中は水を一気に飲み口を開いた。


「ワクワクしたっていいでしょ」
「わ、ワクワクって…」
「まぁ良いじゃん。何にもされなかったし、私としては残念だったけど」
「残念、てアンタねぇ…」
「あんたらのことだから、ゲーム以外に何にもしてないんでしょ」
「…そうだけどさ」


こうして田中の作戦は失敗に終わり、お泊まりは問題なく終わった。しかし、この一件があったお陰で二人は知り合いとなるのだった。

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