∴ 一緒に帰ろう









ジャックは補習を受けていた。ついこの間のテストで赤点を取ってしまったからだ。
部活もあるのに、とぶつくさ言うジャックにクラサメは容赦なくプリントを突き出した。仕方なくそれを受け取ったジャックは結局日が暮れるまでプリントをやっていた。
日が落ちていく光景を見て、なまえはもう帰ってるだろうなとぼやいた。

今日はプリントがあるから先に帰っててと言ったのは紛れもないジャック本人なのだから、なまえが帰ってても何も文句など言えない。ジャックは盛大にため息をついた。





「つっかれたぁ…」





今度なまえに勉強を教えてもらおうと考え、ジャックはプリントを持って席を立つ。後はクラサメにコレを提出するだけだ。
重い足取りで教室の扉を開けると、廊下のはじっこで体操座りをして俯いてるなまえの姿が目に飛び込んできた。
ジャックは慌ててなまえに駆け寄ると、足音に気付いたなまえが眠い目を擦りながら顔を上げた。





「あ、お疲れさまー」

「な、なんでなまえここにいるの?先帰っててって言ったじゃん!」

「うーん、途中まで歩いてたんだけどやっぱり一緒に帰りたいなぁって思ったから戻ってきちゃった」





ジャックに向かって微笑むなまえに胸の奥がきゅうと絞まる。なまえはスカートを払いながら立ち上がり、ジャックの手を取った。





「あとはプリントを出しに行くだけ?」

「う、うん…!」

「そっか。じゃ、行こ」





そう言って可愛らしく笑うなまえにジャックは抱き締めたい衝動を抑え、なまえの手を強く握った。クラサメのいる資料室へ立ち寄った後、二人は仲良く学校を後にした。





「ごめんねぇ、遅くなっちゃって…ていうか教室の中で待ってればよかったのに」

「邪魔になると思って。それにクラサメ先生もそうしたほうがあいつのためになるって言ってたから」

「………」





今度クラサメに悪戯を仕掛けてやると誓うジャックだった。



(2012/1/19)
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