∴ だいすきのどきどき ジャックくんと隣になって私は毎日が幸せだった。まだ気になる程度なんだけど、こんなかっこいい人が隣になるなんて私って本当に運がいい。やっぱりかっこいい人が近くにいると心臓がうるさいわけで、席が隣になって結構経つのに私はまだぎこちなかった。そんな私にきっとジャックくんは、なんだこいつ、みたいなことを思ってるんだろうな。ジャックくんはモテるから私のことなんて眼中に無さそうだもん。 「…はぁ」 「?どしたのなまえさん、溜め息なんかついちゃって」 「え!?いや、じゅ、授業つまらないなって」 「へぇー!なまえさんでも授業つまらないとか思うんだねぇ、てっきり勉強好きだと思ってた」 「勉強は好きじゃないよ」 「………じゃあ、僕のことは?」 「……えぇぇっ!?」 「…なまえ、何かあったのか」 「!い、いえ、すみません、何にもないです…」 ななな何言ってんのこの人!びっくりしたよ!びっくりして声上げちゃったよ!クラサメ先生に怒られちゃったよ!ジャックくんに笑われちゃったし、もしかしてからかったの?私のこのドキドキどうしてくれんの! 「ジャ、ジャックくんあのねぇ…!」 「あはは、冗談だよー。でもまさかそんな反応してくれるなんて思わなかったなぁ」 「ひ、ひどい…!」 「!ご、ごめん!なまえさんかわいくてつい…」 「か、かわ!?」 「………かわ、がどうかしたのかなまえ」 「いえ!すみません!」 この人はなんなんだ!そして私も過剰反応するなよ!いやでもだってかわいいなんて言われたこともなければ、こうして男の子にからかわれたこともない。こんな反応する私をジャックくんは面白がっているのか。だとしたら女慣れしすぎでしょ…! 「か、からかわないで」 「ごめん、ね。この通り!」 「うっ…」 ジャックくんは両手を合わせて私に頭を下げる。そんなことされたら許すしかなくなるじゃん…!ジャックくんってからかうところはイヤだけど……でもやっぱり他のところは好き、かもしれない。これが惚れた弱みってやつかぁ、なんか悔しい。私もジャックくんをいつかからかえるようになりたいな…今の仕返しで。 (あの反応、もしかしてまんざらじゃないってことだよなぁ…へへ、嬉しすぎてからかい過ぎちゃったー) (なまえにきっとジャックって女慣れしてるなって思われてるぞ) (えっ!?そんなまさかぁ) (さっきケイトに愚痴ってたの聞きましたよ) (げ…マジで…!?) (2012/2/29) |