誕生日はもう明日!




自称アイドルを求めて三千里。いやそんなこと言ってる場合じゃない。それに私は自称アイドルは求めていないし。あ、話がそれた。
あれからかれこれ半日以上自称アイドルを探し回っているのだが、これが全く見つからない。神出鬼没だと言われているが、どうしてこういうときに限ってすぐ出てきてくれないんだ。何のために神出鬼没と言われているのだろう。
自称アイドルがいないとベルトを作ることができない。もうジャックの誕生日は明日に迫ってきているから段々焦りがでてきた。マジでこれで誕生日間に合わなかったら自称アイドルのせいにしてやる!



「お、いたいた」
「!あー!いたー!」
「え?お前俺のこと探してた?」
「そうですよ、探してましたよ!半日以上探し回ってましたよ!」
「おぉー、そりゃご苦労さん」



ケラケラと笑う自称アイドルに怒りを覚えるが、それよりもやるべきことが私にはある。それを伝えようとしたら、自称アイドルはいきなり私の目の前に紙袋を突き出してきた。紙袋を凝視する私に、自称アイドルは得意気な顔をして口を開く。



「コレ、お前にやるよ」
「えっ、コレって?」



紙袋をジッと見つめ、首を傾げる。紙袋の中を覗き込むと何となくベルトの形に似ているようなものが入っていた。いやそれにしたって色味も全くないし何より地味すぎる。



「これはなベルトの元なんだよ」
「へ、これが…?」
「あぁ、ここから色々と手掛けていくんだぜ」



ほらよ、と紙袋を私に渡す自称アイドルに目をぱちくりとさせる。というか、何故自称アイドルはベルトを私に渡すのだろうか。



「キングから話は聞いた」
「えっ、少年Kから!?」
「おう。ベルトの作り方、教えてほしいんだろ?」
「うんうん!教えてほしい!!」
「教えるならまずは材料がないといけねぇからな」
「さすが自称アイドル!」
「自称はいらねーよ」



少年Kはそこまで手を回していたのか、少年Kもさすがというべきか。私は自称アイドルに早く教えて、と急かした。自称アイドルはハイハイ、とあしらいながら歩き出し私は自称アイドルの後ろを着いていく。



「あ、俺の部屋でいいよな?」
「もちろん!教えてもらうならどこでも!」
「へぇー…なら部屋行くかー」
「はい!自称アイドル師匠!」
「だから自称つけんなって。つか自称アイドル師匠ってなんだよ」



そんなやり取りをしながら私は自称アイドルの部屋へと向かう。まさかこの光景をあの人に見られていたなんて、この時の私は知るよしもなかった。


ジャックの誕生日はもう明日!





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