誕生日まであと4日




自室に戻ってどんなベルトがいいか調べていた。正直少年Nのアイデアは期待していなかったのだが、想像を遥かに超えてとても良い情報が手に入った。あとはこのアイデアを私がどう生かすかだ。



「普通のベルトじゃなぁ…うーん…」



あげるからには特徴的のあるベルトにしたい。私だけがわかる、そんなベルトに。だけどどんなベルトにすればいいのか私にはさっぱりわからなかった。
クリスタリウムに行き、ファッション誌を手に席に座る。ていうかクリスタリウムにファッション誌があるのにはびっくりした。何でも揃ってんな本当。



「ベルト、ベルト…」



ベルトといっても色んな種類のベルトがある。ゴツいものからシンプルなものまで様々だ。どんなベルトがいいかファッション誌と睨めっこしていると、後ろから聞いたことがある声が聞こえた。



「なまえ?」
「ん?あ、クイ…少女Qさんではないですか!」
「少女Qとはなんですか」



分厚い本を片手にクイッと眼鏡をあげる少女Qさんに、私はまぁ気にしないで、と付け加える。少女Qさんは机の上にあるファッション誌を見て、口を開いた。



「あなたがファッション誌だなんて珍しいですね。ファッションに興味はないと思ってました」
「え、これでも私も一応女なんだからファッションくらい興味あるよ?」
「ファッション誌を見ているところ初めて見たのですが」
「………」



いや確かに少女Qさんの言う通り、ファッションくらいは多少興味はあるけどファッション誌っていうのはあんまり読んだことはない。さすが少女Qさん、よく観察していらっしゃる。でもファッションに興味はないと思ったって失礼じゃないか。



「何を探しているのですか?」
「えっと、ベルトなんだけどね」
「ベルト?」
「あ、私のじゃないよ。ジャックのなんだけど」



きょとんとした顔をする少女Qさんに私はジャックのだと言う。すると少女Qさんはすぐに察したのか、誕生日プレゼントですね、と微笑んだ。さすが少女Qさんだ。



「そうそう、どんなのがいいかなぁって思って」
「ジャックにプレゼントならベルトじゃなくて参考書はどうですか?」
「それ絶対嫌われるよ!確実に嫌われるよ!」
「ふふ、冗談ですよ」
「冗談に聞こえないよ!」



少女Qさんは不敵に笑う。そんな少女Qさんに私は顔を引きつらせた。きっと少女Qさんはジャックに参考書をプレゼントするだろう。そんな気がしてならなかった。



「あまり派手なベルトはやめたほうがいいですよ」
「なんで?」
「制服に合わないからです」
「……なるほど」



制服に合わないから、か。少女Qさんの意見はごもっともだ。制服に合わなかったら買った意味がなくなるもんね。あげるならいつも身に付けていてほしいから、じゃあシンプル重視に探すことにしよう。


ジャックの誕生日まであと4日!




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