ジャックの心情
最近眠れない。いや眠れるんだけど、疲れが全くとれていない。お陰で授業もやる気が起きないから寝てばっかりだ。
原因は何となく自分でもわかっているけれど、認めたくない自分がいた。なんであいつのことなんかで僕が悩まなくてはいけないのか。ポジティブな僕でもあいつのことになるとマイナスな方向ばかり考えてしまうようになってしまった。
こんなのになったのもすべてはなまえのせいだ。
「はあ〜…」
本日何回目の溜め息をついただろうか。いちいち数えてはいないけど、多分相当溜め息をついてる気がする。
そんな僕にエイトが心配して声をかけてくれるが、エイトを見るとあの日の映像がフラッシュバックして、面と向かって素直になれない。何か言われても大丈夫だよーと流すだけだった。エイトには本当申し訳ないと思うが、なまえとのことが頭から離れないためどうしても距離を取ろうとしてしまう。
わかっている、僕がエイトに嫉妬してるってことくらい、自分でもよくわかっているのだ。ただそれを認めたくないだけ。
「…はぁあ…」
なまえが近くにいないだけでこんなになるものなのか。いや実際近くにいないからこんな状態になっているんだけど。
どうしようもできないモヤモヤに僕は頭を抱えた。
「お、ジャックじゃねぇか」
「!な、ナイン…」
モヤモヤしている最中にナインに話しかけられ、僕の中でモヤモヤが拡大する。そうだ、ナインもなまえと何か話していた。何を話していたかは知らないが手を繋いでいたのを思い出し、さらにモヤモヤが増した。
「お前新しいベルト欲しいっつってたよな?」
「え…?あ、まぁ、うん」
「そうかそうか!楽しみにしとけよコラァ!」
「えっ、な、なにを!?」
ナインはバシバシと背中を力強く叩き、わははは、と愉快な笑い声をあげて去っていった。一体今の何だったんだ。確かにベルト欲しいとは言ったけど、なんでそんなことを言うんだろう。
「ハッ!まさか…」
まさか、ナインが僕にベルトでもくれるのだろうか。ナインのセンスだときっと僕とは合わない気がする。もしプレゼントされたらどうすればいいんだろう…断るのもなんか気まずいし…。
「…いや、まさかあのナインが僕にくれるわけないよねぇ」
万が一もらったらもらったでその時に考えればいいや。そう思いながら、寮に帰ろうとするとなまえの姿が目に入った。なまえは忙しそうに走り回っている。そんななまえを見て、近付きたい、話したい、あわよくば触れ合いたいと思った僕は、悔しいけれどもう認めることを決めた。
僕はなまえが好きなんだ。