誕生日まであと7日




ヤバい。気付けばジャックの誕生日まで今日合わせてあと7日しかない。ヤバい。朝起きて、カレンダー見たら来週の金曜日に愛しのジャックの誕生日と花丸で囲んであって一瞬固まった。誕生日が迫ってきているというのに、私ったら少女S様のお弁当のことばかり考えていた。なんたる失態。



「こうしてはいられない。今日は少年Eのところへ行かなければ!」



少年Eがいるところ、それはあの場所しかない。私はそこへ向かって走り出した。








鍛錬場。言う名の通り鍛錬を行う場所である。少年Eはいつも毎朝鍛錬場に来て汗を流しているのだ。鍛錬場に着くと案の定少年Eがハッ、とか、ホッ、とか、フッ、とか言いながら体を動かしていた。



「おはよう、少年Eー!」
「?なまえか。珍しいなこんなところに来るなんて」
「いやぁちょっとね」
「あ、ちょうどいい。オレの相手してくれないか?」
「えっ!?いや私は少年Eの相手をするために来たんじゃ…」
「話なら後で聞くから、いいだろ?なまえくらいしかオレの相手できないんだよ」



少年Eは眉を八の字にさせて私に頼みこむ。確かに少年Eの体術は相当なもので、きっと魔導院で少年Eに体術で勝てる奴はいないだろう。私だって少年Eに体術で勝てるわけがないのに、ある日を切っ掛けに頼み込まれるようになってしまった。
ああ、あの日なんで私は少年Eに喧嘩を売ったんだろう。



「お願いだ、頼む!」
「だから私は少年Eの相手に」
「頼む!」
「あの、少年E?話聞いてく」
「よし、オレから行かせてもらうぞ!」
「おわっ!?は、話を聞けええ!」



まだ了承もしていないのに少年Eは私の顔目掛けて蹴りを繰り出してきた。私は咄嗟に腕でガードをする。
少年Eはそれはもうノリノリな顔をしていたので私は諦めて少年Eの相手をすることにした。










「はぁ、はぁ、はぁ」
「はぁ、ふぅ、も、もう十分でしょ…」
「あぁ…はぁ、ありがとう、なまえ」
「いえ、どういたしまし、て」



さすがに朝から少年Eの相手は疲れる。鍛錬場のど真ん中で大の字になり、空を見上げた。あーなんか清々しい気分だ。汗かいて、めちゃくちゃ動いて、疲れたけどなんか気持ちが良い。この心地良い風もまた気持ち良い。



「ふぅ…あ、そういえばなまえ、何か話したいことがあるって…」



少年Eが何かを言ってる気がする。でも何を言ってるかわからくて、少年Eの顔を見ようとしても全く動かないし段々意識が遠のいていく。なんか大事なこと忘れてるような…ヤバい、これは飛ぶ。



「………寝てるな」



ついに夢の中へと旅立ったなまえに、少年Eもといエイトは呆れながらもフッと笑うのだった。











「え、エイト…?そ、それ」
「ん?それって?」
「な、なんでなまえを抱っこしてるの?!」
「あぁ、ちょっと付き合ってもらったんだよ」
「付き合う!?えっ、それって、えぇ!?」
「?何ビックリしてるんだ、ジャック」
「だっ、だって…」
「うー…」
「!ぼ、僕もう行くね!」
「あ、おいジャック?!」
「ふふー…」
「(何笑ってるんだこいつは)」



夢の中でビックリした顔をしたジャックを笑ってからかう私がいた。


ジャックの誕生日まであと7日!




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