誕生日まであと14日




少年Tに勝つため私はクリスタリウムでガリガリ勉強をしていた。ある程度終わり、休憩しようとクリスタリウムを出ようとしたとき、クリスタリウムにある掲示板へと視線を移す。



「……はっ!」



掲示板の張り紙には課題再提出という文字の下にシンクとナイン、そしてジャックの名前が書き出されていた。私は掲示板へ勢いよく接近しジャックの名前を見つめる。
そうだ、私は今勉強している場合ではない。



「何してんの?」
「!あ、あなたは!」



クリスタリウムでは飲食禁止なはずなのに、チュッパチャップスをくわえている少女Cと出会った。ナイスタイミングだ。



「少女C!ちょうど良かった!」
「はあ?なに、その少女Cって」
「気にしない気にしない。あのさ、少女Cに聞きたいことがあるんだ!」



少女Cは怪訝な顔をして首を傾げる。0組の中ではまともな部類に入るだろう少女Cに期待を膨らまし、私は問い掛けた。
ジャックにあげるとしたらどんな物をあげますか?



「えー?いきなり何よ」
「いいからいいから。参考程度だし」
「アタシを参考にすんの?……うーん、そうねぇ」



参考にすると言ったらケイトは意外にちゃんと考えてくれた。おだてられると調子に乗るタイプかもしれない。そんなことを考えながら私はケイトをジッと見つめる。



「あいつが欲しい物ねぇ」
「うんうん」
「…アクセサリー系は?」
「アクセサリー?」
「あいつそういうの好きそうじゃん」
「ふむ…」
「まぁアタシもジャックがアクセサリー系を好むかどうかわかんないけどね」



えっ、じゃあなんでそう言ったんだ!?と私はびっくりしてケイトを凝視する。曖昧な情報だな、と心の中で呟きながらもどんなアクセサリーがいいのかケイトに聞いてみた。



「それは本人に聞いてみれば?」
「えー…バレちゃうかもしれないじゃん」
「バレちゃう?何が?」
「ジャックの誕生日プレゼント」
「……何日だったっけ?」
「えっ」



同じ組でしかも同じ施設で育った間柄だというのに誕生日を覚えていないなんて衝撃だ。驚く私にケイトはだって興味ないし、とあっけらかんと言って述べた。
ケイトがジャックに興味があったらそれはそれで嫌だが、興味がなくてもせめて誕生日くらい覚えていても良かっただろう。



「あ、ちなみにアタシはねー」
「へ?」
「センスの良さそうなリュックがいいかな!」
「は?え?ど、どういう」
「ちゃんとアドバイスしたんだからこれくらい軽いもんでしょ?じゃ、アタシ教室戻るわ」



じゃ楽しみにしてるわ、と片手をあげて去っていくケイトに私は呆然とするしかなかった。なんだろう、このやられた感満載な気分は。ちゃっかり自分の誕生日プレゼントを要求するあたり意外にしっかりしてるんだな、と項垂れるのだった。



ジャックの誕生日まであと14日!



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テーマ「人外ファンタジー」
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