誕生日まであと22日




ジャックの誕生日まで今日合わせて22日だ。まぁまだ22日もある。もちろん、ジャックのことが大好きな私はプレゼントをあげるわけだが、肝心なことにジャックの欲しい物がわからない。
そこで私よりジャックと付き合いが長い0組に聞いてみることにした。

まず初めに少年Aの話を聞いてみる。



「少年A!」
「…少年A?なんだよその呼び方」
「気にしないで。今そんな気分なだけ」
「なまえって本当おかしな奴だな…」
「そんなしみじみ言わないでよ」
「で、何の用なんだ?」



呆れ顔をさせて私を見る少年Aに、そんなに自分はおかしな奴なのかと自問したくなった。いや、そんなどうでもいいこと自問してる場合じゃない。



「あのさあ、もうすぐジャックの誕生日じゃん?」
「…それがどうしたんだ」
「ジャックにどんな物あげればいいかなぁって。あ、ジャックには惜しまないから遠慮なく言って」
「……そうだな」



そう言うと少年Aは若干暗くなり、目をふせる。それがどうしたんだってちょっと冷たくない?ていうか何をそんなに暗くなってるんだと思ったら、少年Aはポツリと呟いた。



「チョコボのキーホルダー」
「え?」
「チョコボのキーホルダーがいいんじゃないか?」



真面目な顔をして言う少年Aに私は固まる。おいそれあなたが欲しい物じゃないか。そのことを言うと少年Aはまた目をふせて暗くなった。



「ジャックにはあげるくせに僕にはないんだな…」
「………」



今度はハッキリと言いやがった少年Aに、私は眉を寄せる。私が今聞きたいのはジャックの欲しい物であって少年Aの欲しい物を聞いているのではない。そう言いたかったのに目の前で気落ちしている少年Aを見ていたら、そんな言葉よりも何故か申し訳ない気分に陥った。
少年Aはどうやら誕生日に私がプレゼントをあげなかったことを根に持っているらしい。



「チョコボ…」
「あぁー…もうわかった、わかったから!チョコボのキーホルダーね、買ってきますよ買ってこればいいんでしょ!」
「!本当か?」



私がそう言うと少年Aは一瞬ニヤリと笑い、そして驚きの表情をして顔をあげた。そのニヤリ顔を見てしまった私は心の中で少年Aに聞くんじゃなかったと舌打ちをして、逃げるように魔導院を後にした。





『あぁ、あとコルシにあるキーホルダーじゃなくて、イスカにある金のチョコボのキーホルダーだからな』
「はぁ!?あのねぇ、金チョコのキーホルダーって何ギルすると思って」
『ジャックには惜しまないくせに、僕には惜しむのか…』
「ぐああー!わかったよ待ってろよ金のチョコボのキーホルダー!」


少年Aの誕生日には毎年かかさず何かをプレゼントしよう。
そう肝に銘じるのだった。

ジャックの誕生日まであと22日




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