短編 | ナノ

ゆっくりするって言ったのに


「遊びにいきたい」
「…また唐突にどうしたの」
「ストレスだよスートーレース」
「僕が構ってあげられないから?」
「それもあるけど…てか報告書出し忘れてる人誰ですか」
「あはー…すみません」
「終わらせたら遊びに行こう」
「えー、僕はゆっくりしたいなぁ」
「ジャックのいうゆっくりはどーせあんなことやこんなことでしょー」
「大当たりー。…だめ?」
「そんな可愛く言ってもだめ」
「ほんとにだめ?」
「……だめっ」
「ふふーなまえかーわいー」
「おい手を伸ばすなこっち寄るなヘラヘラするなー!」
「あー早くゆーーっくりしたいなぁ」
「遊びに行こうよー」
「んー、遊びに行くってどこに行きたいの?」
「んーとまぁこれといってどこかに行きたいってわけじゃないんだけどね」
「えー?」
「ジャックと行くところならどこでもいいかなぁ」
「……なにその可愛い答え。煽ってるの?!」
「煽ってないからねちょっとどこ触ってるの早く報告書書いてよ!」
「なまえが可愛いことばっか言うから集中できない!」
「じゃあ私部屋戻るね頑張っ」
「それはだめー!お願いだからここにいて…」
「じゃあ口動かす前に手動かして」
「ううう…せっかく長期任務から帰ってきたのにこんな拷問を受けるなんて…隊長なんてトンベリから嫌われればいいんだ…」
「さすがにそれはありえないでしょ」
「じゃあトンベリに逃げられれば」
「ありえないでしょ」
「…はぁ、休憩しちゃだめ?」
「休憩という名の放棄でしょ、ジャックの場合」
「報告書なんて書かなくても生きていけるじゃんーなんで報告書書かなきゃいけないのー」
「上からの命令なんだから仕方ないよ。てか溜めてたジャックが悪い」
「わ、忘れてただけだもん…」
「………」
「………」
「………」
「……?!」
「…手止まってるけど」
「だ、ってなまえがいきなり抱きついてきたから…」
「だめ?」
「だ、だめじゃないけど…(背中に柔らかいものが…)」
「じゃあいいじゃん。ほら、手動かす」
「……これもある意味拷問だなぁ…」
「終わったら」
「…?」
「ゆっくりしてあげるから」
「……!!うん!全力で頑張る!」
「(初めからこう言えばよかった…)」

その後全力で報告書を終わらせたジャックは、なまえに手を引っ張られながら街中へと姿を消した。