短編 | ナノ

キングと尻




どうも!
私、12組所属のなまえっていいます。
12組って変な人集団とか言われてるけど、そんなことないのですよ。
私は変な人に分類されません。
得意なものは武器造り。
色んな武器を作っては、軍令部長を追いかけ回す日々を送っております。
候補生でいられるのは私が武器職人だから。
今まで色んな武器を作ってきました。
私の兄が武器職人だったそうで、その血を受け継いでいるからか武器を作り出すと止まらなくなったのが切っ掛けです。

前置きが長くなりましたが、私は最近気になるのです。
あの人が。
あのいかついお兄さんが。





「………またお前か」
「キングさん!お尻触らせてくださ」
「断る」
「えー!そこを何とか!」
「断る」



今私が気になっている人はそう、0組所属のキングさん。
この人の後ろ姿を見た瞬間なにかが私の中で弾け出した。
特にお尻を見た瞬間。

まるでサンダーが私に襲い掛かってきたかのように!



「ほんとなまえって変わってるわよね」
「ケイトさぁあん!キングさんにお尻触らせてくれるよう頼んでください」
「却下ー」
「な、仲間でしょう!?」
「仲間でも無理なときはあるものだろう」
「セブンさぁぁぁん!」



只今リフレッシュルームにてケイトさんとセブンさんとお茶会中。
いや、私がその2人の中に割って入ったんですけどね。
2人とも心底嫌そうな顔をしましたけど気のせいですよね。



「なんでキングじゃないとダメなんだ?」
「キングさんじゃないとダメなんです!一回でもいいからあのプリプリなお尻を触らせてくれたら…!私、きっと天国いけちゃうんじゃないかって思ってるんです!」
「……改めてなまえってバカよねぇ」
「一応成績はケイトさんより優秀です!」
「そっちのバカじゃないっての!てかアタシより優秀って嫌味か!」
「まぁまぁ…」



ケイトさんとセブンさんはキングさんと同じ組であり仲間なので、この人たちに頼めば触らせてくれるかもと思ったのですが、あえなく撃沈。
キングさん、ふかーい溜め息をついたそうです。



「ていうか、いきなり触っちゃえばいいじゃん」
「実行しました!」
「「え」」
「銃を向けられました!」
「「……はあ」」



そうです、後ろからいきなり触ろうとしたら額に銃を向けられました。
あの目は本気でした。
キングさんに殺されるところでした。
死ぬ前に絶対キングさんのお尻を触りたいので、諦めましたけど。



「もう諦めたら?」
「あっ諦めるって言葉、私の辞書にはないです!」
「しつこいともっと触らせたくなくなるぞ」
「こうなったらカヅサさんに…!」
「「それはやめ(ろ)(てあげて)」」
「………じゃあどうすればいいんですかぁぁあ!」



ケイトさんとセブンさんは呆れ顔で、私は半泣き。
どうすればキングさんのお尻を拝められるか、必死に脳ミソを働かせる。

考え付いた策をひとつ。



「サイスさんとナインさんに頼もう!」





やってきました。
0組教室。
サイスさんに恐る恐る話しかけるとアァン?と言われました。
でもめげません。

必死に事情を話すと、突然サイスさんは爆笑し出しました。



「あっははははは!キ、キングの尻を触りたいって?あははははは!」
「そ、そうです!触りたいです!お願いです!協力してください!」
「あははははは!そ、そんな必死に頼み込む、ことかよ…!あー腹いてー!はぁ〜…よっしゃ、一肌脱ごうじゃねぇの」
「ほ、ほんとですかー!?」
「ああ、あたしだけじゃ無理だろうから、他に誰か手伝うヤツ探してやるよ」
「あ、ああありがとうございますー!」



サイスさん万歳!
サイスさんは席を立ち、ナインさんに話しかけた。
おぉ、ナインさんにも調度頼み込むところだったので都合がいいです。
サイスさんから事情を聞いたナインさんも大爆笑していて、それを見ていたジャックさんも仲間に加わり、私、サイスさん、ナインさん、ジャックさん、の最強メンバーが揃いました。
まさかジャックさんまで手伝ってくれるとは思いもしませんでした。



4人で作戦会議。

まず、サイスさんがキングさんを呼び出します。
そしてキングさんをナインさんとジャックさんで羽織い締めします。
もちろん銃を出されたら溜まったものじゃないので、2人がガッチリ腕をホールドするらしいです。
キングさんが身動き取れなくなったところで私が後ろからお尻を触ります。


なんて完璧な作戦でしょう!
ナインさんとジャックさんに羽織い締めされたら身動きなんてできるわけがありませんし!



「じゃあその作戦で」
「わかったぜコラァ」
「りょーかぁい!」
「わかりました!」
「じゃあたし呼んでくるわ」



そう言うとサイスさんは教室から出ていきました。
私はドキドキしています。



「キングがどんな反応するか楽しみだねぇ」
「女にケツなんか触られたらプライベート崩れちまうよなコラァ」
「ナインさんプライベートじゃなくてプライドです」



そんなやりとりをしていると、教室からキングさんとサイスさんが現れました。
私たちは身を潜めて、タイミングをはかります。



「話って何だ」
「大したことじゃねぇんだけどさぁ」



サイスさん、意外と演技がお上手です。
そしてサイスさんがこちらを見た瞬間、ナインさんとジャックさんが飛び出し、キングさんを羽織い締めしました!



「なっ…!?」
「わりぃなキング」
「ちょっと失礼するねぇ」
「お、お前ら、何す」
「さぁなまえ!早く触っちまいな!」
「!?」
「サイスさん、ナインさん、ジャックさん…!ありがとうございます!キングさん、すみません…失礼します!」



やっと!
やっと触れる!
これでいつ死んでもいい!



そして私がキングさんのお尻を触ろうとした瞬間でした。



「何をしている」
「げっ」
「あちゃータイミング悪いねぇ」
「く、クラサメ…隊長…!」



私たちの後ろに0組の隊長ことクラサメ隊長が仁王立ちで立っていた。
相変わらずかっこいいですね。



「もうすぐ授業が始まる。早く自分の教室に戻るんだ」
「そ、そんな…」
「ちっ、なまえ、貸せ!」



いきなり腕をサイスさんに引っ張られ、手には柔らかい感触が。
これは!と感触を楽しむ前にキングさんが雄叫びをあげ、ナインさんとジャックさんを振り切り、教室から出ていってしまいました。
それを見ていたサイスさん、ナインさん、ジャックさんは大爆笑。
クラサメ隊長は眉間に皺を寄せていましたが、私は満足しました。

サイスさんたちに感謝感激です!

本当にありがとうございました!



そのあと、クラサメ隊長からこっぴどく怒られたのは言うまでもありません。

ケイトさんとセブンさんが呆れた顔でこちらを見ていました。
でも気にしません。
キングさんのお尻を一瞬だけでしたが堪能できましたから!

見た目と同じで、プリプリしてました!