短編 | ナノ

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「あーめんどくせぇ」

「ほんとほんと、なぁんで僕が掃除なんか…」

「でもサボったら隊長に怒られちゃうし〜課題もたくさん出ちゃうから〜困ったよねぇ〜」





ナインは机を拭き、ジャックは窓を拭き、シンクは床を掃いていた。
この三人は報告書の再提出の期限を忘れていたためクラサメ隊長から罰として教室の掃除を任されてしまった。
勿論サボろうとするならば大量の課題が三人に待ち受けている。
課題をやるよりも掃除をしたほうがいいと判断した三人は今こうして教室の掃除に励んでいるのだ。





「あぁぁー!マジやってらんねぇよコラァ!」

「ナインうるさーい」

「まぁそうなっちゃうのもわかる気がする〜。なんか面白いことないかなぁ〜」

「そんなんあるわけ………んだコラ?」

「?ナインどーしたのぉ?」

「…これ誰のノートだ、オイ?」

「なになに〜見せて〜!」

「僕も僕もー!」





ナインが発見したノートに興味津々なシンクとジャック。
一ページをめくると、白紙だった。
その次のページを開くと独り言のような文字が書かれていた。





「『切な日記』………?」

「切な日記〜?切ない日記ってこと〜?」

「ていうか何が切ないんだろー?」

「お、次のページにもなんか書いてあるぜ」

「んじゃ次いってみよー!」





なんだか楽しくなってきた三人は掃除そっちのけで謎のノートに夢中になっていた。





「『どうすればお近づきになれるのでしょう…ああ、今日も話しかけられませんでした』……なんかこういう喋り方してる奴見たことあるような…」

「奇遇だねぇー僕も同じこと考えてたよぉ」

「ジャックんもぉ?実は〜私もなんだよねぇ」

「……次いくぞコラァ」





三人の頭の中に浮かぶ一人の人物。
しかも本当はすごい見てはいけないような気がするのだが、ここまで来たらもう引き返すことはできない。
覚悟を決めた三人は生唾を飲み込み、次のページを捲った。





『例えるなら花のような、いえ太陽のような、そんな方だと私は思うのです。あの人は行動を起こさなくても誰にでも好かれるような方なのでしょうね…どうやら私もその一人になってしまったようです』

「……誰のことなんだろー」

「好きな人なんじゃないかなぁ〜」

「誰でもいいけどよぉ…なんかこれ気持ちわりぃぜ…」

「それ言ったら可哀想だよナインー」

「そ、そうだよな…」

「あ、まだ続きあるよ〜」

『手が届かないというのはこのことを言うのでしょうね。ああ、この気持ち早くあなたに伝えた「貴女方何をしているのですか!?」

「げっ、トレイ!」

「あぁーせっかく読んでたのにぃ」

「やっぱりトレイだったんだねぇ」

「貴女方もしや…!ハッ!そのノートは!」

「トレイの好きな人って誰なのぉ?」

「あ、貴女方には関係ないでしょう!返しなさいナイン!」

「トレイ…なんだ、その…気持ちわりぃなんて言って悪かったなオイ…」

「!きっ気持ち悪い、ですか…うっ…この件はなかったことにお願いします…!それでは!」

「あっ!」

「あー、もうちょっと見たかったのにぃ」

「ふふ、いいもの見ちゃったなぁ〜」

「…俺、しばらくトレイのこと見れねぇ気がする」

「見ないほうがいいよぉ。トレイも気まずいと思うからねぇ」





それからトレイは三人としばらくの間は目を合わそうとしなかった。
そんな中トレイを見つめるナインはどこか申し訳なさそうな顔をしてたとかしてなかったとか。