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 エースと別れた私たちは再び道なりに進んで行く。すると今度は右手にケイトとセブンがなにかを話していた。
 ジャックがケイトとセブンじゃーん、と声をかけると二人はゆっくりと振り向く。


「ジャックとメイか」
「なに仲良く手繋いでんのよ」
「言っとくけど…私は不本意、ジャックが離してくれないだけだから」
「へへー」


 そう反論するとケイトはハイハイ、と流しセブンは眉を八の字にさせてすまないな、と謝ってきた。助けてはくれないのか…と少しだけ落ち込む。
 ケイトはふと私とジャックを交互に見て、首を傾げた。


「……んー?」
「?ケイトどしたのー?」
「……この景色といいアンタらといい…なぁんか見たことある気がするんだよね」
「この景色はクリスタリウムの資料で見たんじゃないか?それに、この二人はいつも一緒にいるじゃないか」
「いつも一緒って…」
「ほらほらぁ、もう皆僕たちのこと認めてるんだって!」
「私は認めてませんから」


 顔をにやけさせて言うジャックに、私は肩を落としながらハッキリ言う。
 セブンは私とジャックがいつも一緒にいると今でも思ってるらしい。これも不本意だ。ジャックがわざわざ私を探してまで一緒に居ようといるのが悪い。
 私はジャックを探したこともなければずっと一緒に居ようって思ったことはないし。
 セブンの言うことにケイトは、確かにこの二人はいつも一緒だから気のせいかも、と呟いた。ああ、ケイトもそんなこと思ってるのか。


「クイーンじゃないんだから、白虎の景色を資料で見るなんてしないって」


 ケイトは堂々と言ったが、その発言にセブンが溜め息をついて、作戦前には見ておけ、とケイトに言う。作戦前は戦地になるだろう資料を見るのが普通、なのだがどうやらケイトは見なかったらしい。
 ケイトはだってめんどくさいんだもん、と言うとだよねーとジャックも資料を見ないことがわかった。私とセブンがジャックを見つめると、ジャックは苦笑混じりで今度はあっち見に行こう!と私の手を引っ張り先へ進んだ。



 0714地区に入ると諜報員の気配がした。キョロキョロと辺りを見渡すが諜報員らしき人物は見当たらない。
 気のせいか。でも確かに諜報員の気配がしたんだけどな。


「あ!エイトー!」
「うわっ」


 グンッと手を引っ張られて転げそうになったが踏ん張りそれを回避する。
 ジャックと私はエイトのほうへ行くと、ジャックの声に気付いたエイトはお前たちか、と呟いた。


「エイトも観光ー?」
「あぁ、こんなところ滅多に来られないからな。それにしても、相変わらず二人は仲良いな」
「え、エイトもそう見えるの…?」
「皆そう見てるだろ」


 そうか、もう0組に公認されているのか。それを聞いたジャックは嬉しそうにしているが、私は何とも言えない気分だった。