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グスグス、と泣きべそをかいている子どもがいる。それが少女か少年かわからない。ただ膝を抱えて小さく踞っていた。 その子どもが泣いている理由はなんだっただろう。手を差し伸べようとしたとき、泣いている子どもに近寄ってきた子どもがいた。
『どうしたの?』
手を差し伸べるのをやめて静観する。子どもが泣いている子どもの顔を覗き込んで優しく声をかける。泣いている子どもは鼻をすすり、顔を上げた。 目の前にいる子どもを見ると泣いている子どもはまた俯いて、いなくなっちゃった、と呟く。それを聞いた子どもはしゃがみ泣いている子どもの頭を撫でながら、ぼくがいるよ、と言った。 泣いていた子どもは顔をあげて袖で涙を拭いた。
『ほんと?』 『うん。ぼくがきみのそばにいるから、なかないで』 『いなくならない?』 『いなくならないよ、うーん、じゃあやくそくしよ』
ぼくと言った少年は小指を泣いていた子どもの前に差し出すと、泣いていた子どももゆっくりと自分の小指を少年の小指に絡める。それから少年は泣いていた子どもの手をとり、2人でどこかへ走って行ってしまった。
「………」
ゆっくり目を開けると左手に違和感を感じて、顔を左手のほうへと向けると、ジャックの手が私の手をガッチリと握っていた。 肩から頭を離し顔を上げるとジャックが気持ち良さそうに寝ていて、まだ頭の中が覚醒できてない私は足を投げ出してボーッとする。そういえば夢を見ていた気がする。なんの夢だったっけ…。
「よく寝てたな」 「!セブン…」 「ふっ、ジャックも気持ち良さそうに寝てるな」
セブンが鼻で笑い、私のほうへと視線を戻す。まだ迎えに来ないの?とセブンに尋ねると、もうすぐ着くらしいと返答をもらった。もうすぐ着くならジャックも起こさなくちゃな。そう思った私はジャックを起こそうと、繋がれてる手でジャックの足を軽く叩く。
「こうして見てると、メイとジャックは出逢うべくして出逢ったのかもしれないな」 「へ…?ま、まっさかぁ」 「私にはそう感じるんだが」 「またまたご冗談を…」
セブンの顔を見ると優しく微笑んでいて、少しだけ見とれてしまった。女の私でも見とれてしまうのだから、きっと男の人が見たら惚れるんじゃないだろうか。 セブンって綺麗だね、と言うとセブンは目を丸くさせてそうか?と言った。自覚がないのか。
「んー…」 「!ジャック、起きて。もうすぐここに着くって」 「ん…んー…もうちょっと寝てたいー…」 「ダメだってば、ちょ、私にもたれるな!」
ジャックは横になりたいのか私のほうへと身体を傾け始めた。私がセブンに助けを求めると、またトレイに説教してもらうか、とセブンが言う。するとジャックは慌てて飛び起きてそれだけは勘弁ー!と言いセブンに許しを貰うのだった。
(あーあ…せっかく良い夢見てたのにー) (?ジャックさん、なんの夢見たんですか?) (うーん、それがはっきり覚えてないんだよねぇ…) (良い夢だったのに覚えてないのか?) (起きたら頭の中からスポーンと抜けちゃってさぁ…なんの夢だったかなぁー)
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