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数時間後、準備を終えた0組は魔導アーマーの周りに集まっていた。魔導アーマーに乗ると0組はミリテス皇国帝都"イングラム"を目指して出発した。
出発してしばらく揺れていると、工場に着いたのか色んな機械音が聞こえてくる。魔導アーマーが立ち止まると外から話し声が耳に入った。
「目録をだせ」 「あぁ、しかしここんところ、やけに搬送量が多いな。なんか変わったもんでも作ってんのか?」
0組は聞き耳を立てていると、ナギと皇国兵が話しているのがわかった。 ナギは本当の皇国兵のような演技をする。そんなナギに0組は少しだけ感心した。
「さぁな、余計なことを気にするな」 「まぁ何にしても、さっさと戦場の方へ行きてぇぜ」 「あぁ……よし、通っていいぞ」 「おう、じゃあな」
どうやら無事にクリアしたらしい。再び動き出した魔導アーマーに0組はホッとした。
ある所で魔導アーマーは止まり、ナギに誘導されて魔導アーマーから降りる。ナギは全員降りたのを確認すると、0組を見据え口を開いた。
「さてと、俺が案内するのはここまでだ。この先が工場施設、そこからは…」 「自分たちでなんとかしろってこと?」 「必要な情報はモーグリに渡してあるし、ほんのチョットのアフターサービスはしてやるさ」
アフターサービスの言葉に0組は首を傾げる。 ナギはちらりとジャックを盗み見るとジャックは目を伏せていた。おいおい大丈夫かよ、と言葉には出さず心の中で呟き、腰に手をあてた。
「…んじゃ、健闘を祈ってるよ。クリスタルのご加護がありますように」
そう言うとナギはそこから姿を消す。姿を消したナギにジャックはギュッと拳を作った。 工場内へ潜入しようと歩を進めていくと、レムが一瞬苦しそうに足を止める。マキナが大丈夫かと声をかけると、レムは苦笑してつまずいただけ、と返した。そんなレムにマキナは心配そうな表情でレムの後ろ姿を見つめることしかできなかった。
──開発棟 資材集積所
工場内に無事潜入すると、モーグリから無線が入った。
『任務クポ。ブリューナクの情報を探すクポ!』
ブリューナク、それが新兵器の名前らしい。モーグリからの無線が切れると、新たな無線が0組のもとに入った。
『0組、聞こえる?潜入作戦中は通信が制限されるわ。現地諜報員と連携し最低限の通信になると認識して』
朱雀のカスミ武官の声だった。了解、と無線で伝え少し進むと赤い赤外線が兵器の回りを囲んでいた。シンクがこれなんだろ〜と言って兵器に近付こうとしたら、またカスミ武官から無線が入った。
『それは索敵型兵器よ。範囲に入ると、辺りの兵器の全てが警戒態勢に入るわ。注意して』 「!シンク!」
それを聞いたエイトは素早くシンクの腕を掴む。エイトが止めに入らなかったら危うく赤外線に触れるところだった。 カスミ武官に言われた0組はその赤外線を避けながら先へと進んでいく。少しだけ狭くなった通路を走っていると、突然大きな音と共に何かが0組の前を通り抜けた。 通路だった道はあっという間に吹っ飛び、先に進めなくなってしまった。その破壊力に何かが飛んできたところを覗くと、そこには新兵器だろう魔導アーマーが目に入る。その魔導アーマーの大きさに0組は目を丸くさせ呆然とした。0組の面々は凄まじい破壊力と魔導アーマーの大きさに驚きを隠せず口に出てしまう。
「すごい、皇国はこんな兵器を作れるんですね…」 「なにこれ……こんなものを作ってたの…?」 「バカか、皇国は…」 「必ず、破壊しましょう…!」
0組は通れなくなった道に顔を合わせていると、モーグリから無線が入った。
『先に行けなくなってしまったクポ。潜入ルートを変更するクポ』
潜入ルートを変更って一体どこから行けばいいのか、とモーグリに問い掛けると今度はナギから無線が入った。
『さっそくトラブル発生かよ?潜入ルートを地下に変更するんだな』
地下、と言われて辺りを見渡すと地下へ続くだろう梯子に目が入った。そこへ0組は歩を進めると、誰かの話し声と怒号が聞こえてくる。
「ぶわーっはっはっは!すまねぇな!力が入りすぎちまった!」 「ふざけるな!!この施設はシド様に与えられたものだ!隔壁を下ろせ!実験は一時中止だ!」 「実験中止、第61隔壁閉鎖。機体277を第9格納庫へ移動」 「あのバカはコクピット内に縛り付けておけ!食事を与える必要もない!!」 「なっ!?すまねぇってあやまってんだろ!!」
0組は誰なのだろうと首を傾げながら、地下へと続く梯子を降りるのだった。
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