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「如何致しますか」 「……ふん、いいだろう。だが、条件がある。……准将の傍を離れないことだ、そう伝えておけ」 「…我の傍、でいいのですか?」 「構わん。任せたぞ、准将」 「……ハッ」
カトルはシドの部屋から出てすぐにメイの部屋へと足を運ぶ。シドの言伝を聞いたメイは微妙そうな顔をして、そうですかと呟いた。カトルが部屋から居なくなると、メイは溜め息をついてCOMMをベッドの中から出した。
「……まぁ、工場には行けることになったけど」
まさか准将が私の傍にいるなんて。メイは肩をガックリと落とすのだった。
──氷の月25日
皇国で新たに開発されている魔導アーマーは、国家戦略に影響を及ぼすほどの性能であることが判明。 八席議会は、この魔導アーマーを破壊する計画を検討、特殊部隊を皇国に送り込み、工場と研究施設の破壊命令を0組に下した。 0組は、潜入の手助けをする諜報員に会うために、イスカ地方のロコルに向かわなければならなかった。
ロコルに着いた0組は、潜入の手助けをしてくれるという諜報員を探していた。 街の奥のほうへ進むと、皇国兵の姿と白虎の兵器、魔導アーマーがそこにはあった。きっとあれが潜入の手助けをしてくれるという諜報員なのだろう。 0組が皇国兵に近付くと、皇国兵は気さくに話し掛けてきた。
「よぉ、あんまり待たせるなって。俺だよ、俺、ナギだ」 「!諜報員ってナギのことだったのか?」 「ナギ…!」
エースがびっくりした表情でナギを見る。ナギの名前に反応をするジャックを他所に、ナギは口を開いた。
「この軍服どうよ、白虎っぽいだろ?」 「そ、そりゃ見えるけど…」 「ま、そう見えなきゃ困るんだけどな。と、いう訳で、この魔導アーマーの後ろが、お前らの特等席だ」
0組はナギの後ろにある魔導アーマーを見つめる。まさか魔導アーマーに乗って移動するとは思わなかった。
「おっと、そうそう、こっから出発したら白虎の空域は電波妨害で飛空艇は呼べない。それから、作戦の性質上、チョコボでの移動もできないからな」
ナギの忠告に0組の面々は息を飲む。魔導アーマーに乗ったら易々と魔導院に帰れない。それなりに準備をする必要があった。
「んじゃまぁ、行くとしますか?準備ができたら、声をかけてくれよ」
そう言うとナギは魔導アーマーの操縦席に乗る。 エースは皆に準備ができたらここに集まろうと言うと皆は頷き、街の中へと消えていった。ただ1人、ジャックだけは魔導アーマーの前から動かなかった。
「なんだよ、お前はもう準備いいの?」 「まぁねぇ…」 「俺がここにいるのが不思議か?あぁ、工場に着いたら俺はそこでお前らとは別れるから」 「…あのさぁ、聞きたいことあるんだけど」 「ん?」
ジャックは魔導アーマーの操縦席に近付き、ナギは首を傾げてジャックを見る。ジャックは無表情のまま、口を開いた。
「メイは工場のどこに現れるのを聞き忘れたからさぁ」 「あぁ…知らねぇよ」 「は?」
ナギの答えにジャックは眉を寄せた。どういうことだとナギに詰め寄れば、知らねぇもんは知らねぇよ、と吐き捨てられてしまった。
「ただわかるのはメイが工場に現れる、それだけだよ」 「どこにいるかわからなかったら助けることもできないじゃんか!」 「だから言ったろ?メイと会ったらって。…そんときは命かけてでも連れ戻して欲しいもんだけどな」 「!」
俺はお前にかけてんだよと言いナギは操縦席の窓を閉め、ジャックは呆然とするしかなかったのだった。
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